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防災関連のビジネスとは?災害大国ならではの事例

粕谷麻衣 粕谷麻衣
防災関連のビジネスとは?災害大国ならではの事例

あそび防災プロジェクト

災害大国といわれる日本。地震や台風、水害、などこれまでに、挙げればきりがないほどのさまざまな影響を受けてきました。
実際、世界中を見ても、こんなにも災害が多い国はほかにありません。

そんな災害大国日本では、防災関連のビジネスが多いのをご存じですか?日本で必須となる「防災」をテーマとした企業は、さまざまであり、そのうえ「多種多様」です。
とはいえ、具体的にどんな防災関連のビジネスがあるのかは分からない…という方は多いでしょう。
そこで、今回は防災関連のビジネスについて紹介します。災害大国である日本ならではの事例についてチェックしてみてください。

 

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災害大国日本は「防災ビジネス」が多数

防災ビジネスとは、文字通り「防災」をテーマに商品やサービスを提供するビジネスのことです。
日本に住んでいる限り、防災とは無縁でいられません。実際、近年は「南海トラフ巨大地震」や「首都直下型地震」といった大地震が近いうち発生するといわれています。そのうえ、「噴火」のリスクも近年高まっているとして、国内のどこに行っても災害への備えが必要なのです。

そんな日本で需要が高いのはやはり「防災」といえるでしょう。実際、巷で提供されている防災グッズやサービスなどは国民にとって大変助かるものです。
日本が災害大国である以上、ほぼ永久的に防災ビジネスが成り立つといっても過言ではありません。古くから災害に悩まされてきた日本ですが、近年では技術の発展とともに、最新の技術や知見を駆使した幅広い防災商品・サービスが提供されるようになってきています。

防災に関わるビジネスの事例

防災に関わるビジネスの事例にはどのようなものが挙げられるのでしょうか。
「防災ビジネスといってもピンと来ない…」という方は、ぜひここからの事例をチェックしてみてください。

避難所の構築や運用

万が一、災害により自宅で過ごせなくなったとき、必要となるのが「避難所」です。
一般的に避難所は市区町村などの行政が構築・運用していると考えられていますが、中には民間に委託しているケースもあります。
避難所の構築や運用は決して簡単なことではありません。普段から業務に追われている行政としては、避難所にまで手を回すのは負担が大きいのです。このような理由から、国内にある避難所の一部は民間会社が構築・運用などを担っています。
避難所の構築や運用における具体的な内容は、避難所内のレイアウト考案や、受付による利用者の管理などが挙げられます。また、利用者のストレスをなるべく軽減するためにも、現場の状況に合わせてうまく立ち回ることも大切な業務内容です。

このように、災害時に欠かせない避難所は、多くの従業員の働きによって支えられているのです。
ちなみに、避難所に関する防災ビジネスは、必ずしも「構築」「運用」だけではありません。避難所の開設を検討している組織などに向けて、アドバイスしている会社もあります。利用者が快適に過ごせるよう、専門業者が「レイアウト」「現場の立ち回り」「運用の基本」などをアドバイスするのです。
避難所は単純に場所を提供するのではなく、利用者全員が安全に過ごせるように、あちこちに気を配らなければなりません。そうした避難所の運用をサポートするのが、専門業者の役割なのです。

防災イベントの運営

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いくら「防災をしましょう」と呼びかけても、「防災ってつまらない」「今はしなくて大丈夫」と思っている人や、「防災」という言葉をまだ知らない子供には、なかなか防災の大切さを伝えることができません。

人々に、防災を知るきっかけを提供したい。防災を世の中に広める一端を担いたい。そのような思いをもとにした、防災イベントや防災教育のビジネスが、近年では注目され始めています。

株式会社IKUSAでは、イベント会社として培ってきた体験型イベントの運営スキルを活用し、「あそび」と「防災」を掛け合わせた「あそび防災プロジェクト」をリリース。「参加したい」と思ってもらえる防災イベントの企画・運営を行うことで、防災を学ぶ人を増やすことを目的としています。

「あそび防災プロジェクト」は2020年度グッドデザイン賞を受賞しました

 

運動会の競技を通して防災を学ぶ「防災運動会」や、子供向けワークショップ「防災ヒーロー入団試験」など、あそび防災プロジェクトのラインナップについては、こちらをご覧ください。

非常食の開発・製造

防災といえば欠かせないのが非常食。その開発や製造を行っている企業は非常に多い傾向にあります。実際、非常食売り場を見てみると、大手メーカーから海外メーカーまで幅広い企業が非常食に携わっていることが分かります。

非常食は、万が一災害が発生したとき、命をつなぐためにも欠かせないものです。数ある防災グッズの中でも最も重要視される存在といえるでしょう。

非常食の開発や製造は年々方向性が大きく変わってきている傾向にあります。かつては、「とにかく長期間保存できるものを」「とにかくエネルギー源になるものを」と、主食系が非常食のメインでした。主に缶詰やカップラーメンなどが主流だったのです。
しかし、近年は非常食のバリエーションが豊かになってきています。例えば、缶詰タイプの麺類やおかず、パンなど、かつてはあまり見かけることのなかった缶詰が当たり前のように販売されています。これは、開発企業による努力の賜物であるといえるでしょう。
中には、非常食でありながら、普段から食べたくなるような「スイーツ」を展開しているメーカーもあります。「非常事態であっても食を楽しんでほしい」「非常事態だからこそ、美味しいものを」といった、各企業の思いが込められているのです。

また、最近では非常食に対する考え方が変わりつつあるのをご存じですか?非常食といえば、当然ですが「非常事態のときに食べるもの」といったイメージがあるでしょう。災害によって食料の調達ができなくなってしまったとき、命綱となるのは非常食です。
しかし、近年は「非常食を普段の食生活にも取り入れる」といった動きもよく見られます。忙しい毎日の中で健康的な食事を摂るのは難しいのが現状。そういった方に向けても、非常食作りはさまざまな工夫が凝らされているといわれています。
非常食を開発する企業やメーカーによっては、「共働き家庭」などに積極的な非常食の活用を推奨しているケースがあるほどです。
こうした背景により、非常食に対するイメージは、開発・製造を担う企業により、年々変わってきているのです。 

災害時の情報発信

災害時の情報は、被災者にとって重要な役割です。そういった情報を発信するための「ビジネス」も存在します。

台風や大雨であれば「雨量について」「水位について」「被害状況について」などが重要な情報ですし、地震であっても被害状況や危険エリア、物資の支給予定など必要な情報は多いです。
一般的には、市区町村が情報を発信していることが多いですが、一方で民間企業が発信していることもあります。専門業者ならではの情報の早さと正確性は、一刻を争う事態のときに心強いものでしょう。災害は人命が関わっていることですので、情報発信は欠かせません。
防災ビジネスの中には、上記のような「災害情報を発信するビジネス」も含まれているのです。


また、「情報」に関するビジネスは必ずしも情報発信だけとは限りません。情報を発信するためのシステムを構築するといったビジネスも存在します。
例えば、無線設備の規格変更や、新たな情報伝達システムの構築など、災害に直接関わるわけではないものの、間接的に防災に関わっているビジネスがあるのです。システムに関わる業者の中には、行政から依頼を受けるケースもあります。
当たり前のように行っている災害時の情報収集は、「情報発信する会社」だけではなく、「情報発信するための土台を支える会社」によって可能となっているのです。

BCPの活用促進

企業の防災という観点で大切なのが、BCP(事業継続計画)です。BCPとは、災害が起きた際に損害を最小限に抑え、事業の継続や復旧を図るための計画です。

株式会社Tech Designでは、災害時に企業のBCPが有効に働くことを促すリスクマネジメントプラットフォーム「Resilire」の提供を行っています。ITを活用し、クラウド上でBCPを管理できるサービスとなっています。

株式会社Tech Design代表・津田様に行ったインタビューでは、企業防災のあり方についてのお話をお伺いしました。こちらの記事もぜひお読みください。

「災害が起きても経済が止まらない社会を創造する」Tech Design代表 津田裕大

災害時は、もちろん人の命が最優先です。しかし、命が助かっても、国の経済を動かしている企業活動が止まってしまえば、やがて人々の生活は苦しくなってしまうでしょう。このような企業防災に関するビジネスも近年注目され始めています。

ハザードマップの作製や見直し

災害に巻き込まれないためにも必須の存在といえるのが「ハザードマップ」です。
ハザードマップとは、災害による被害を予測し、視認できるように「地図」にあらわしたものをいいます。ハザードマップは自然災害が発生したときの「危険エリア」を把握できるため、災害大国の日本には欠かせないものです。
一口に、ハザードマップといっても、紙媒体とweb媒体があり、いずれも無料で入手・利用できます。紙媒体に関しては、市区町村の役所や学校、保育園・幼稚園などで入手できることがほとんどです。web媒体のハザードバップは主に地域のホームページ上にリンクされています。

こうした、防災に欠かせないハザードマップは、民間会社などが作成し、定期的に見直しを行っているケースがほとんどです。
ハザードマップは一度作成しても、過去の被災状況や統計、気候の変化など、さまざまな要因によって変更しなければならないことがあります。そのため、定期的に見直しハザードマップの内容が適切であるかを確認する必要があるのです。
スマホの普及により、webのハザードマップの需要が高まっていることから、web関係の会社がハザードマップの作成や見直しを行っているケースもあります。

非常時用備蓄下着の開発・製造

あまり知られていませんが、防災ビジネスの一つに「非常時用備蓄下着の開発・製造」といったものがあります。
非常時用備蓄下着とは、洗濯用のネットと簡単に洗える素材で作られた下着セットとした商品です。災害によって避難所を利用していると、「下着を洗えない」といった問題に直面します。
そうした背景から生まれたのが「非常時用備蓄下着」です。非常時用備蓄下着は、外からは中身が見えにくい洗濯ネットに専用の下着を入れて、少量の水と洗剤で気軽に洗えるように開発・製造されています。イメージとしては洗濯ネットが洗濯機の役割を担っているのです。
また、洗濯ネットの中に下着を入れたまま干すこともできるため、人目を気にせず気軽に「洗濯」「乾燥」を行えます。

食料などと比べると、下着は見えにくいポイントでもあることから、優先度が低い傾向にあります。しかし、それでもなお、災害現場で使用したことがある一部のユーザーからは評価が高く、今後の需要拡大も想定されるといわれているのです。
ちなみに、非常時用備蓄下着の開発・製造は、防災としてだけではなく、「気軽に洗濯ができない」「下着を干しにくい」とされる、海外の途上国やイスラム圏への需要も見込めると考えられています。

防災セットの提供

近年、需要が上昇傾向にある防災グッズの一つが、あらゆる防災グッズがセットになった「防災セット」です。
専用のリュックに、必要な防災グッズを詰め込んだものが商品として展開されています。防災セットの中身は、提供する企業によって異なるものの、主に水や食料、懐中電灯といった定番アイテムのほか、着替えに使える目隠しとして活用できるポンチョや、エアーアマットといった変わり種の防災グッズを取り入れている商品もあります。

防災セットは、「何を備蓄したらいいのか分からない」「どのような備えがあれば安心なのか分からない」といった方からの需要が高く、防災ビジネスの中でも定番的な位置にあります。
しかし、その分市場では競争率が激しいのも事実。そのため、他社との差別化が必要となるのです。例えば、防災グッズを収納するバッグの機能性を高め、「背負う」「キャリーケースのように転がす」「持つ」といったさまざまな持ち運びができるような工夫をしたり、バッグの内部を使い勝手の良い構造にするなど、さまざまなアイデアが必要とされます。

また、最近では、「防災グッズをもっと身近で親しみやすい、ポジティブなものにしたい」という思いのもと、株式会社KOKUAが防災グッズのカタログギフトサービスを発表しました。

本サイト・あそび防災プロジェクトでは、株式会社KOKUAの代表・泉様にインタビューを実施。新たなチャレンジに対する思いをお伺いしています。

「防災とは、自分の大切な人を守る自然な行為」株式会社KOKUA代表 泉勇作

防災関連のビジネスは「細かな需要」に答えることがカギ

防災関連のビジネスはさまざまなものがありますが、いずれにせよ、「細かな需要」に答えることが、成功のカギとなります。
実際に防災ビジネスを展開する企業を見てみると、同じ商品・サービスを取り扱っていても、差別化を図っていたり、他社が踏み込んでいない分野を網羅したりなど、常に需要を探している印象です。また、歴史のある商品であっても、これまでのイメージを覆すようなPRを行うなど、さまざまな対策を講じています。
そのため、防災関連のビジネスは一見シンプルに見えますが、さまざまな工夫と努力が必要といえるでしょう。
もし、防災関連のビジネスに興味があるなら、「発掘されていない需要」のリサーチからスタートしてみてはいかがでしょうか。

まとめ

今回は、防災関連のビジネスについてご紹介しました。
災害大国である日本にとって、防災の需要は非常に高いです。そのため、多くの企業が続々と防災ビジネスを展開してきています。
しかし、前項でも触れたとおり、「防災商品・サービスを提供すればいい」といったシンプルな話しでもないのが事実です。
興味のある方は、防災に関する需要を調べたり、現場の声を聴くなどして、積極的に防災ビジネスに踏み込んでみてはいかがでしょうか。

 

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粕谷麻衣
この記事を書いた人
粕谷麻衣

1993年生まれ。栃木県在住。一児のシングルマザーライター。Web媒体・紙媒体にて、ジャンルを問わず多くのメディアで執筆。BtoB向け記事の他、ママ目線でのコラム執筆も手掛ける。専門家や起業家などへの年間インタビュー数200人を目標に、パワフルに活動中。

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