こんにちは、あそび防災プロジェクト専属ライターのJJです!
このたび、防災グッズのカタログギフトサービスを展開している株式会社KOKUAの代表・泉勇作様にインタビューを実施しました。
防災のカタログギフトによって叶えたいことや、ご自身が考える防災の課題について、語っていただきました。
- 目次 -
現在行っている活動の特徴やビジョン
−まずは、現在行っている活動の特徴についてお聞かせください。
(泉様)我々は、防災を世の中に広めていく、前進していくことをビジネスの観点で始めようという形で立ち上がった会社になります。
これまではBtoBで企業さんの研修と防災を重ね合わせたようなものを提供したいなと思っていたのですが、我々は元々、被災地でのボランティア活動を8年間ほど個人で続けてきたメンバーが集まってできた団体です。
僕自身も学生の時から今に至るまで災害救援や防災の活動を行ってきたのですが、防災を世の中に普及していく上で、企業とか法人に対して行動を起こすのもものすごく重要でありつつ、やっぱり大事なのは、一般家庭にいかに防災を普及をしていくかということだなと思うようになりました。
そんな思いで始めたのが、防災グッズのカタログギフトサービスです。防災の実効性を高めるにあたって、やっぱり「防災グッズ」といった、災害に対して対策ができるものを揃えていくというのはとても分かりやすいなと思っています。
もちろん物をそろえるからそれでOKというわけではないのですが、物を揃えるという行動や体験の過程の中で、ハザードマップ見てみようとか不測の事態があったらこういった対策をしようということを考える機会が生まれ、意識的な向上も同時に見込めるのではないのかなと感じています。
事業を始めるにあたり、防災グッズが世の中にどれくらい販売されているのか、皆さんどれくらい揃えているのか、っていうのを調べたのですが……ちなみにJJさんは、防災グッズって今自宅にありますか?
−お恥ずかしながら、全然揃っておらず…。懐中電灯と非常食ぐらいでしょうか。
(泉様)それだけあればまだいい方で、本当に何もないっていう人も結構いるんですよね。
ただ、そんな人でも、今後日本において災害が広がっていくことや、いつか自分の身の回りに大きな災害が起こるかもしれないなということは認識しているんです。ある調査によると、90%の人が、今後日本で大きな災害が起こると思っている、という結果も出ているくらいです。
でも、この方々に「何か防災の対策をしていますか?」という質問をしてみると、40%ぐらいの方々しか防災を行動に移せていないんですよね。
それってすごい重大な社会課題だなと思いまして。「やばいとは思っているけど何もやってないんだよね」みたいな。これはまずいなって思って、この現状を解決したいと思ったのが事業を始めたきっかけです。
そして事業の特徴についてですが、当然、いきなり「じゃあ防災グッズを揃えましょう!買ってください!」って言ってもなかなか買ってもらえないですよね。
私たちは、防災や防災グッズをどのように日常に溶け込ませるかすごく大事だなと思っていて。防災グッズというものとギフトという文化をミックスさせればポジティブな形で防災や防災グッズが普及していくのではないか、という思いがこの事業の根底にあります。
防災グッズを「防災グッズ」として届けるのではなく、それよりも前に、もらって嬉しい体験とか渡して嬉しい体験として、ギフトとして素敵なものを作るということを意識しています。
★サービスサイトはこちらからご覧いただけます。
−ありがとうございます。例えば、どんな防災グッズを販売しているのですか?
(泉様)防災グッズである前に我々の商品はギフトとして素敵でなければいけないので、デザイン性が優れている防災グッズを多く取り揃えています。
普段のインテリアとしても馴染むような、もらって嬉しいおしゃれなデザインの防災グッズを多くラインナップしています。
−開発にあたり苦労した点やヒストリーなどがございましたら教えてください。
(泉様)大前提にあるのが、我々はまだ何も成し遂げていないということです。
最近色んなメディアさんの取材を頂くことがちょっとずつ増えていて、その際にいつも伝えているのは、「まだ本当に社会に対して何もできていない」ということです。
まだ販売実績があるわけでもないですし、クラウドファンディングでちょっとご支援いただいたというのがひとつの実績としてはありますが、まだこの商品が世の中に受け入れるかどうかってわからなくて。我々としては、「過去を振り返るほどの何かを成し遂げていない」っていうのが大前提にあります。
その前提の上で、ヒストリーというお話しをさせていただきますと、これまで苦労したこと……そうですね、やっぱり防災ってお金に結びつけるのが本当に難しいなと。お金って言うとちょっと刺がありますが、防災ってそのまま「大事ですよ」って伝えると、大事なはずなのに正しく伝わらなかったり、ちょっと受け取り難かったりとっつきづらかったりしがちなジャンルなんですよね。行政っぽいとかカタいっていうイメージがどうしてもつきやすくて。
それをどうポジティブに変換していくのかっていうことを考えて、いろんな事業案を出してきたんですけども、事業が右に行ったり左に行ったりっていうのが一つの大きな苦労でしたね。
逆にいろんな分野に向けて防災をチャレンジしてみた葛藤の結果、こういった今の自分達も納得できるところにたどり着いたのかなと思います。
−メディアの取材を多く受けており、先日もクラウドファンディングを達成されていましたが、今注目を浴びている理由はどこにあると思われますか?
(泉様)防災ってトピックスが意外と少ないんですよね。重要度も緊急度も毎年徐々に上がっており、メディアからすると何かそれに対して悪い情報だけではなくポジティブな情報をもっと取り上げていきたいと思うはずなんですが、意外とそんなに多くのトピックスがないっていうところが一つありますね。
また、今まで※防災ガールのような、防災に対するポジティブなアプローチを本気で取り組んでいる素敵な団体は他にもたくさんありましたが、企業として、若い20代のメンバーが複数名集まって防災をポジティブに何か変革をしようというのがそもそも少数派であるというのも、今注目をいただいている大きい要因かなと。そういうチャレンジをする姿勢を取り上げてくださっているのかなと思います。
※防災ガール…「防災があたりまえの世の中に」をビジョンに2020年3月11日まで活動を行なっていた一般社団法人
それともう一つは、私自身、阪神淡路大震災が起きた神戸の出身なんです。実際災害が起きたのは幼い頃だったのでその時の記憶はないのですが、7つ歳が離れている兄からその時の話を聞いていたという背景がありまして。
被災者でもあり、大学の時からボランティアにより救助者というか、ボランティアとの関わり方もあってという、防災と関わりを持ってきた人間が防災を前進させようとしているっていうストーリーに共感を頂いているのかなと思います。
日本の防災の課題
−今感じている日本の防災の課題はございますか?また、今やおこなっている事業で解決できる防災の課題はどんなものですか?
(泉様)大前提として、防災の課題はもちろんたくさんあるのですが、それに対して本気で取り組んできた先人の方々や今取り組んでいる専門家の方々のおかげで、本当はもっと被害を受ける可能性があったのに、最悪の状況を免れているんですよね。
しかし、そういった状況の中でも、解決すべき課題はまだたくさんありますね。
「自助・共助・公助」なんていう言葉が言われている通り、日本は災害大国です
災害大国というのは裏を返すと、非常に世界の中で自然に恵まれた環境にあるということです。日本には豊富な水や森林資源があり、国土の大半が山であり、四季折々があります。
自然に恵まれているが故に、自然の脅威も受けやすいというところがもちろんあります。
これまでは地震が起きて建物が倒壊しても、木造だからもう1回建て直すとか、人口が密集してないからまあある程度なんとかなったところがありました。
しかし、都市部とかになってくると、一つ地震がおこるだけで甚大な被害が想定されます。これまでのような「行政が何とかしてくれるだろう」とか「最終的には自治体の避難所に行けばどうにかなる」といったレベルの話ではなくなっているというのが防災の現状です。
私が真っ先に取り組むべきだと感じているのは、「自助」の考えの普及です。
防災というのは行政が何か大きな対策するとか、大きい避難所やシェルターを作るとか、そういう遠い話に聞こえがちです。しかし、防災の本質、自助の本質って、「あなたとあなたの大切な人の命を守ろう」という形だと思うんですよね。
ただ、それがなかなかとっつきづらかったり、大事だとわかってはいるんだけれど何をしていいかわからない、特に準備していないっていう環境や世の中の風潮が今のところが過半数を占めていると思います。この認識を変えることが、日本の防災の課題だなと思います。
これから行っていきたいこと
−これからやりたいことやチャレンジしたいことはありますか?
(泉様)まずは、カタログギフトで、これまで防災について考えてなかった方々に向け、一人でも多くの方に防災を知るきっかけやご自分で体験するきっかけを増やしていきたいなという風に思っています。
その上で、「こんなおしゃれな防災グッズあるんだ」というきっかけで、防災って大事だなと気付いた方が、「私とか私の家族ってどんな準備していなきゃいけないんだろう」とか「どういうことが自分の命とか家族のために必要なんだろう」ということを知る機会と、それを知った上で、「じゃあちょっとずつ防災に必要なものを揃えていこう」という機会が生まれてほしいですね。
この2つの機会を提供して、日本における自助の普及と対策の普及をギフト以外のシーンでも押し上げていくということがビジョンですし、目標です。
−ちなみに、他に考えているサービスってありますか?
(泉様)すごくざっくりなんですけれども、一つはECですね。
我々のギフトブックが手元に届いて「この消火器めっちゃおしゃれだな」みたいなことがきっかけで「ちょっと防災をやってみようかな」と思った方に対して、家族の構成人数や要介護者の方の有無、エレベーターの有無など、パーソナルな情報をもとに必要な防災グッズを提案できるECというかプラットフォームを開発中です。今年中、遅くとも来年3月までにはリリースできればと思います。
−素晴らしいアイディアですね!BtoB領域でも何か取り組む予定はありますか?
(泉様)to C の事業がメインとはなりますが、オフィス防災とか物販の領域においてはチャレンジしていきたいなという風に思っています。
今後何があるかわからないのですが、自分たちが積み上げていく事業の先に「こういったようなことをやってほしい」というご要望が多く、それが我々のビジョンに合って、かつ我々にできることとマッチしているのであれば、物販とか物品という概念に囚われず、サービスを考えていきたいと思っています。
あそび防災プロジェクトに期待すること
−あそび防災プロジェクトに対して期待することや、あそび防災プロジェクトのイメージをお伺いできますか?
(泉様)あそび防災プロジェクトは素晴らしいものだと思いますし、代表の赤坂さんは尊敬している経営者の一人でもあります。
ある意味着眼点は我々のサービスと似たようなスタートなのかなと思っていて。
自分たちがやれる分野でやろう、やっているフィールドの中でいかに防災をミックスさせて届けるのか、みたいなところに、共通点を感じますね。
あそび防災プロジェクトは「遊び」と「防災」を掛け合わせたプロジェクトですが、防災を遊びのなかで学ぶっていう考えは、正直、子供が防災体験できるイベントみたいな形で、もともとあったといえばありました。
しかし、遊びのプロフェッショナルであり、遊びを追求してきたIKUSAが防災を取り入れて提供していくっていうのは、すごい化学反応だと思いますし、これまで全然防災に興味を持ってなかった人とかいろんな人々にゼロイチのきっかけを与えられる、すごい切り口だなと感じています。
これからも、防災を最初に知る、体験する切り口として、固定概念をぶっ壊していって欲しいと思っています。
「防災ってもっとポジティブなものなんだ」という方向にいっていただければすごくいいなと思いますね。
★あそび防災プロジェクトの詳細はこちら
https://asobi-bosai.com/
泉様にとって防災とは?
−では最後に、泉様にとって、「防災」とは何でしょうか?
(泉様)「自分とあなたの大切な人を思い浮かべてください。その人を不慮の事態を守るということが防災なんです」ということを僕はよく話していますね。
防災とは僕にとって、大切な人を守る自然な行為で、全然カタい話ではないんです。
たとえ話を挙げるとすれば、防犯って言われる分野がありますよね。これは犯罪に巻き込まれないための対策ですが、防災に比べ、皆さん自然にやっていることだと思います。
例えば、自分の彼女とか本当に大好きな人とかがちょっと暗い夜道を通ることがあるとしたら、自然と迎えに行くと思うんですよね。その時って、「もし送り迎えしなかったら今日あそこの角で刺されるかもしれない」みたいな具体的なシーンを想像するよりかは、もっと自然に「防犯」のアクションをとっていると思うんです。
防災も僕にとってそれぐらい自然なことですし、そういう世の中になってほしいなと思っています。
−本日はお時間をいただき、誠にありがとうございました!「防災は自然に行うもの」というお言葉に、ハッとさせられました。カタログギフト、ぜひ私も利用してみたいと思います。
(泉様)ありがとうございます!あそび防災プロジェクトの活動も楽しみにしています。
まとめ
今回のインタビューを通し、行政や自治体に頼るのではなく、ごく自然な行為として防災をとらえ、自助を推進していくことの大切さを学びました。
そして、防災には一人ひとりの意識の向上が必要であり、KOKUAのカタログギフトはまさに、防災について考え、自助を推し進めていくきっかけになるプロダクトだと感じました。
我々も、防災を考えるきっかけになるようなプロジェクトをどんどん世に広めていければと思います。
泉様、貴重なお話ありがとうございました!
★株式会社KOKUAのホームページはこちら
https://kokua-social.jp/
株式会社IKUSAのオウンドメディア担当。「あそび防災プロジェクト」をはじめとするメディアの編集長を務めています。記事の編集、校正、アナリティクス分析、駆け出し動画編集、WEBデザイン、メルマガ企画など遊びの会社の1人マーケターとして奔走中!