もともと日本は、地震や水害などのリスクが高く、災害と隣り合わせの国。防災の知識を深めるために、防災に関する資格を取得したいと考える方は少なくありません。
しかし一方で、「どんな防災関連の資格があるか」はあまり知られていないのが現状です。
そこで今回は防災関連の資格について紹介します。資格取得を目指している方や、災害知識を身に着けたい方はぜひ参考にしてください。お問い合わせする
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国家資格・民間資格の中には「防災関連」が多い
国家資格・民間資格を見てみると、意外にも「防災関連の資格」も多いことがわかります。
資格により学べる内容には若干違いがありますが、「人を助けることに特化した資格」「災害の基本情報を把握できる資格」など、幅広く学べる資格がほとんどです。
そのため、「防災に関する仕事に就きたい」といった方のほかにも、「家族を災害から守るために資格を取得したい」といった方が資格取得を目指すケースもあります。
いずれにせよ、防災に対して理解を深めたい方の多くが、「資格取得」という形で積極的に学んでいる状況です。
防災に関わる国家資格・民間資格一覧
防災に関わる国家資格や民間資格として重要なのは、「救急救命士」「防災管理者」「防災危機管理者」「防災士」の4つです。それぞれどのような資格で、他の資格とはどのような点が異なるのかを見ていきましょう。
救急救命士
防災に関わる資格の一つが「救急救命士」です。国家資格の一つであり、怪我人の救命救急措置を施すことが許されている資格です。
以前は救急隊員による救急措置を施すことは許されておらず、現場では最低限の対応しかできませんでした。基本的に「傷病者を病院に送ること」が救急隊員の仕事であったからです。
しかし、法律の改正に伴い、傷病者を病院に搬送している間のみ、救急隊員でも救命措置をとれるようになりました。
救急救命士の資格を取得するには、消防学校や専門学校などを経て受験するケースが一般的です。近年の合格率は8割を超えていますので、比較的難易度は低い資格といえるでしょう。
防災管理者
防災管理者は救急救命士同様に国家資格の一つです。文字どおり、防災管理に携わる資格であり、具体的には「消防計画・防災計画の作成」「建物の防災管理」などの業務を担います。
「防災管理新規講習」を受講するか、もしくは「防火・防災管理新規講習」を受講することで取得できます。前項の救急救命士よりも合格の難易度は比較的低いといえるでしょう。
防災管理者を取得すれば、「企業の防災計画作成」「組織の防災対策マニュアル作成」などに携わるための知識が身につきます。企業の防災担当者や特定の組織において防災対策を任されている方に適した資格です。
防災管理者の受講は、自治体のほか日本防火・防災協会に申し込むことも可能です。「仕事のために防災の資格を取得したい」と考えている方は、ぜひ防災管理者の資格取得を検討してみてください。
防災危機管理者
防災危機管理者は、防災関連の民間資格の一つです。通信教育で学べることから、忙しい方でも取得しやすい資格といえます。防災危機管理者では災害のほか、テロ対策に関する内容も習得できるのが特徴です。
防災危機管理者の有資格者は、災害で業務がストップしてしまった場合、復旧に関するリーダー的な存在として活躍することも可能です。あらゆる現場で重宝されることから、就職や転職などにも有利な資格として知られています。
学習には「パソコン(インターネット環境)」が必要となりますので、事前準備が必要です。
防災士
民間資格である「防災士」は、防災や減災に関する基本スキルを身につけられる資格です。災害が発生したときの人命救助はもちろんのこと、備蓄や現場での立ち回りなど幅広く学べます。
講習では救急救命士の指導を受けられますので、より実践的かつ専門性の高い内容を学べるのも魅力です。
かつては個人的に取得する例が多かった資格です。しかし最近では、巨大災害のリスク増加などに伴い、企業が積極的に取得を進めていくケースも見られるようになりました。
防災士は学生でも取得でき、中学生や高校生が取得する例も見られます。世代を問わずに取得できることから、防災について興味を持った学生も積極的に資格取得を目指すといいでしょう。
防災に関わる国家資格の取得がおすすめの方
防災に関わる国家資格の取得がおすすめなのは、どのような方なのでしょうか。ここからは、国家資格の取得を検討している方に向けて、「おすすめできる方の特徴」を解説していきます。
災害時に活躍する仕事に就きたい方
防災に関わる国家資格の取得がおすすめの方として、まず挙げられるのが「災害時に活躍する仕事に就きたい方」です。
日本は地震や洪水、津波、台風など、あらゆる災害リスクが潜んでいるエリア。いつどんな災害が発生するかはわかりません。当然、災害が発生すれば多くの怪我人が発生するでしょう。そんなとき、「積極的に動いて人を助けたい」と考える方も多いのではないでしょうか。
「災害時の人助け」を仕事にしたいなら、当然専門的な知識や技術、スキルが必要です。また就職先によっては、防災関連の資格取得者であることが応募条件ということも。仕事として防災に関わりたいと考えているのであれば、防災に関する国家資格の取得を強くおすすめします。
基本的に国家資格であれば、あらゆる就職先で有利になることは事実。取得しておいたほうが、就職や転職のチャンスが大きくなるでしょう。
災害時に活躍したいという場合、数ある資格の中でもおすすめなのは「救急救命士」です。防災管理者と比べると現場での守備範囲が広く、直接被災地に関わることが増えます。自分の働きがすべて被災者のためになりますので、やりがいも感じられる重要な資格といえるでしょう。
組織や団体内で「災害担当」の方
組織や団体内の災害担当者の方は、防災関連の国家資格の取得をおすすめします。
企業などによっては、資格の取得を必須としていない場合も多いでしょう。独学などで自発的に防災学習を進めているケースもよく見られます。
しかし、独学のみで防災関連の知識を網羅するのは難しいかもしれません。一口に「防災」といっても、企業の防災や家庭の防災とでは必要な知識が異なるからです。仮に「企業の防災」に絞って学習するとしても、「災害の復旧をメインにするのか」「被害を少なくするのか」など、細かなジャンルに分けられるので一筋縄ではいきません。
もちろん、防災関連全般の知識を身につけておくことは大切です。しかし学習の初期段階では、独学ではなかなか理解が進まないことも。その結果、浅く広い知識でとどまってしまうことも考えられます。
そのような事態を避けるべく、組織や団体内で災害担当を任されている方は、資格取得を目指すのがおすすめです。
資格取得を前提とした学習であれば、基本要素から順番に学んでいけますし、「防災管理者」の資格に関しては、受講のみで必要な知識を取得できます。
企業や団体で災害担当として活動している方は、国家資格の取得を前向きに検討してみてください。
災害の知識を身に着けたい方
「災害時にサポートする仕事に就きたい」「企業で防災担当を任されている」などといった理由ではなく、単純に「災害の知識を身につけたい」という方にも資格取得はおすすめです。
資格によっては、防災や減災の基本を中心に幅広く学習できるものもあります。たとえば「防災士」に関しては、組織内の災害対策だけではなく、一般家庭でも活用できるような知識を得られるのが特徴です。「防災対策」「減災対策」「災害が起こったら」など、あらゆる対応に目を向けて、自分なりに災害対策の計画を立てられるようになります。
実際、最近は「家族を守るため」といった理由で、防災に関する資格取得を目指す方が増えている傾向にあります。とくにここ数年は、首都直下型地震や南海トラフ地震などのリスクや想定被害規模などの情報が次々と発信されていることもあり、大災害の危険性をいっそう肌身に感じるようになりました。こうした背景もあり、防災の資格取得の需要は高まっています。
防災の資格を取得する動機はさまざまです。仕事で必要なケースだけでなく、「家族を守るため」「自分で基本的な知識を身につけるため」といった身近な理由で資格取得しても、なんら問題ありません。
まとめ
防災関連の資格は国家資格か民間資格かに関わらずあります。「学びたい内容」や「学ぶ理由」と照らし合わせながら最適な資格を選ぶといいでしょう。
とくに仕事関係が理由で資格を取得したい方の場合、「就きたい職業」と照らし合わせたうえで、資格の種類を選ぶのがおすすめです。
現在、資格取得を検討している方は、本ページを参考にしながら、取得する防災関連の資格を検討してみてください。資料をダウンロードするお問い合わせする

1993年生まれ。栃木県在住。一児のシングルマザーライター。Web媒体・紙媒体にて、ジャンルを問わず多くのメディアで執筆。BtoB向け記事の他、ママ目線でのコラム執筆も手掛ける。専門家や起業家などへの年間インタビュー数200人を目標に、パワフルに活動中。

「やらないと」から「やってみたい」と思える防災へ。防災を楽しく学べるイベント「あそび防災プロジェクト」の発案者。防災運動会をはじめとした様々なサービスを考案。企業や自治体、商業施設での防災イベントの実施や、「世界防災フォーラム2019」「防災アイディアソン BOSAI Startups in Japan」へ登壇。「あそび防災プロジェクト」は2020年グッドデザイン賞を獲得した。