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外国人向けの防災に関する取り組み20選

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外国人向けの防災に関する取り組み20選

近年、日本で働く外国人は増加傾向にあり、ビジネスや旅行で訪れる外国人も増えています。外国人が日本に滞在中に災害が発生すると、言葉が伝わりにくいことから情報を集めるのが難しく、どう行動すれば良いかわからなくなることが考えられます。また、文化の違いから孤立することもあるでしょう。外国人の安全を確保し孤立を防ぐために、外国人向けの防災に関するさまざまな取り組みが行われています。

今回は、防災に関する外国人向けの取り組みを紹介します

 

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外国人が防災で不安に感じること

農業や製造業の技術を学ぶ技能実習生が増えているといった理由で、日本で暮らす外国人は、増加傾向にあります。令和46月時点で、日本には総人口の2%にあたる約296万人の外国人が暮らしており、前年末に比べて20万人増えています。

国・地域別でみると、1位中国、2位ベトナム、3位韓国の順に在留外国人が多く、在留目的には「永住者」「技能実習」といったものがあげられます。永住者や技能実習などを目的に在留する場合、観光や短期留学といったものと比べて長期滞在となるため、自然災害にあうリスクが高まるでしょう。こういったリスクを抱える外国人は、どのような不安を抱えているのか考えてみましょう。

参照:令和4年6月末現在における在留外国人数について|出入国在留管理庁

避難時における言葉の壁

災害が発生すると、「避難」「高台」など、外国人にとって、あまりなじみのない日本語が飛び交います。避難を呼びかける日本語がわからないと、逃げ遅れてしまい、命が危険にさらされることもあるでしょう

また、避難場所や避難物資が配布される場所を知る際も、言葉の壁が課題になります。翻訳アプリを使う方法もありますが、災害時は素早く動く必要に迫られるため、日本語が苦手な場合、対応が遅れる可能性が高まるでしょう。

食文化の違い

食文化の違いにおける課題の1つに、宗教上の問題があげられます

たとえば、イスラム教徒が食べられないものとして、よく知られているのが豚肉です。災害時に炊き出しが行われる場合、使われる食材が明確でないと、宗教上の理由で食べられない可能性があるでしょう。

また、ベジタリアンやヴィーガンを実践している人や、日本食を食べ慣れていない人なども、状況によって食事が摂れないケースが考えられます。

孤立する可能性

日本語が苦手な外国人は、災害時、周りの日本人とコミュニケーションがとれなかったり、避難所のルールが理解できずトラブルになったりすることで、孤立する可能性があります

防災リテラシー

自然災害の少ない国から来日した外国人は、日本で初めて災害にあうと、対応がわからず不安になったりパニックになったりすることもあるでしょう。災害時に、自分を守れる適切な行動をとるためにも、日頃から防災リテラシーを向上することが大切です。

【平時の外国人向け防災】リテラシー向上のための取り組み7

リテラシーとは「正しく読み書きができる能力」という意味で、広くは「生きる力」と捉えられています。また、災害に備えて防災の知識や技術を身につけることを「防災リテラシー教育」といいます。ここでは、防災リテラシー教育に関する取り組みについて紹介します。

1.外国人のための減災ポスター

日本で起きる自然災害、必要な準備、情報確認や安全な避難の方法などを外国人向けに説明したポスターを、内閣府が作りました。日本語、やさしい日本語、英語、中国語(簡体字、繁体字)、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、ベトナム語、タイ語、インドネシア語、タガログ語、ネパール語、クメール語、ビルマ語、モンゴル語があり、ホームページからダウンロードできます(202310月現在)。二次元コードを読み取ると、使っているスマートフォンの言語設定で見ることが可能です。

参照:外国人のための減災のポイント(やさしい日本語と多言語QRコード対応)|防災情報のページ – 内閣府

2.多言語防災ビデオの活用

仙台国際交流協会は東日本大震災の経験を踏まえ、多言語防災ビデオ「地震!その時どうする?」を制作し、活用しています。日本語、中国語、英語、韓国語、インドネシア語、台湾語、タガログ語、ネパール語、ベトナム語、ベンガル語、ポルトガル語、モンゴル語の言語で、地震や津波への備えや対応について、映像でわかりやすく説明しています。YouTubeへ掲載や、仙台国際センターでの視聴・貸出を行っています。

3.外国人向け防災啓発資料

名古屋市は「津波」「避難勧告」など災害時によく使う言葉や、情報の集め方、避難の時の注意点をまとめた外国人向けの防災啓発資料を作っています。やさしい日本語、英語、中国語、ベトナム語、フィリピノ語、ネパール語、ポルトガル語、ハングル、スペイン語があり(202310月現在)、日本の自然災害の基礎的な知識を身につけるのに役立ちます。名古屋市のホームページからダウンロードができます。

参照:外国人向け防災啓発資料(暮らしの情報)|名古屋市

4.外国人のための防災ハンドブック

東京消防庁は、地震、火事、救急に関する緊急時の電話対応について外国人向けの防災ハンドブックをホームページで公開しています119番に電話すると消防車や救急車が来ること、110番に電話するとパトカーが来ることを車両の写真入りで説明しており、やさしい日本語、英語、中国語(簡体字、繁体字)、ハングル、ベトナム語で作成されています。

参照:外国人のための防災ハンドブック|東京消防庁

5.アプリとWEBサイトを紹介したリーフレット

内閣府は災害時に便利なアプリとWEBサイトを多言語で紹介するリーフレットを作りました。リーフレットには二次元コードがあり、日本の災害情報を知るのに役立つアプリをダウンロードできます。日本語、英語、中国語(簡体字、繁体字)、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、ベトナム語、タイ語、インドネシア語、タガログ語、ネパール語、クメール語、ビルマ語、モンゴル語があり、ホームページからダウンロードできます。

参照:水害・地震から我が家を守る 保険・共済加入のすすめ|防災情報のページ – 内閣府

6.指定避難所の多言語マップ

金沢市は、学校や公民館など、災害時に避難した住民がしばらく生活する「指定避難所」の位置を示したマップを多言語で発行しています。日本語、英語、中国語(簡体字)、韓国語、ポルトガル語、インドネシア語、ベトナム語があります。グーグルマップ版とPDF版をホームページから見ることができます。

参照:金沢市指定避難所多言語マップ|金沢市公式ホームページ いいね金沢

7.外国人のための防災訓練

東京都生活文化局では、防災・減災について学ぶ「外国人のための防災訓練」をしています

  • 地震や火事を疑似体験できるVR防災体験
  • 地震の揺れや豪雨体験
  • 火事の煙の体験
  • 消火器の使い方
  • 避難所の暮らし

上記について、やさしい日本語と英語で学ぶことができます。この訓練は、災害時に語学能力をいかして外国人を支援する「東京都防災(語学)ボランティア」のスキルアップの場にもなっています。

参照:外国人のための防災訓練|東京都生活文化スポーツ局

【平時の外国人向け防災】担い手を育てる取り組み2

地域で長く暮らしている外国人のなかには、日本人や外国人をサポートするといった「助ける側」として活躍する人もいます。特に、防災の担い手不足に悩む地域では、外国人の活躍が期待されており、防災の担い手を育てる取り組みが行われています。

1.外国人防災リーダー育成

日系ブラジル人をはじめ、外国人が多く暮らす静岡県浜松市では、家族ぐるみで定住する外国人が多く、日本語が得意な人もいます。そのため、日本語が苦手な外国人と日本人をつなぐ役割が期待されています。

浜松市では、外国人が防災リーダーとして活躍できるよう研修を設け、日本の災害や外国人支援について学びの場を提供しています。なかには、地区の防災担当を外国人が務めるケースもあり、外国人の立場に立った支援のアイデアを提案することによるさまざまな効果が期待されています。

2.外国人だけの機能別消防団

滋賀県草津市では、外国人が外国人被災者を支援する「機能別消防団」があり、語学力をいかし、防災啓発活動や避難誘導、心のケアなどを行っています

団員の中心となっているのは、地元にある立命館大学の留学生です。外国人だけの消防団は、全国的にみても珍しく、地域で暮らす外国人の防災意識向上につながると期待が寄せられています。

【災害時の外国人向け防災】生活サポートに関する取り組み2

災害が起きると、それまで当たり前だった生活が一変します。特に大きいのは食事や生活習慣、文化の違いといった問題でしょう。ここでは、生活に関する外国人向けの防災サポートについて紹介します。

1.ハラール認証の防災用非常食

イスラム法で許された食品や食材を「ハラール」、禁じられたものを「ハラーム」といい、イスラム教徒は食事において「ハラール」「ハラーム」を重視します。イスラム法では豚肉が摂取できないため、災害時は避難所での食事について豚肉の使用を確認する必要があります。

防災用非常食のなかには、イスラム教徒が安心して食べたり、使用したりできる「ハラール認証」を取得したものが販売されています。宗教上のルールがある場合には、こういった非常食を活用するのもよいでしょう。

2.災害時外国人対応の手引き

大勢の被災者が生活する避難所では、日本語がわからずコミュニケーションがうまくとれないことから、外国人と日本人の間にトラブルが起きることもあります。そこで兵庫県国際交流協会は、被災した外国人を避難所で受け入れるために準備することについての「手引き」にまとめました。

「日本語でも良いので積極的に声をかけること」「外国語による情報提供」「避難所担当者が準備しておいた方が良いもの」などについて解説されており、手引きはホームページからダウンロードできます。

参照:災害時外国人対応の手引き|公益財団法人兵庫県国際交流協会

【災害時の外国人向け防災】情報提供・安否確認に関する取り組み9

災害時は、正確な情報を早く知りたいと思うものです。ここでは、外国人が安否確認や被災情報を得るための取り組みについて紹介します。

1.災害時外国人支援情報コーディネーター

総務省は、災害が起きた時、行政などから出される情報を整理し、外国人被災者のニーズとのマッチングを行う「災害時外国人支援情報コーディネーター」を研修で養成しています

被災した外国人は、言語の壁、避難など状況の理解不足、食生活や習慣の違いといった課題を持っています。コーディネーターは外国人のニーズを把握し、地方自治体や地域国際化協会などに伝えます。

研修の対象は、一定の条件を満たす地方自治体や地域国際化協会の職員です。

参照:災害時外国人支援情報コーディネーター養成研修の開催状況|総務省

2.災害時通訳ボランティア

被災した外国人が避難所で過ごす場合、救援物資の配給やボランティアの派遣などさまざまな情報が日本語を中心に提供されます。日本語に慣れていない外国人は、十分に情報を把握できない場合もあるでしょう。そこで愛知県岡崎市は、災害時に外国人を支援する災害時通訳ボランティアを育成しています。災害時通訳ボランティアは、外国人が情報を正確に把握できるよう情報の翻訳に協力したり、避難所を訪問して通訳をしたりします。

3.外国人向けのフリップボード

北海道小樽市では外国人観光客が被災した時に備えて、避難を呼びかけるフリップボードを作成しました。イラストと合わせて「避難しろ」と大きな文字が記載されています。英語、中国語、韓国語、ロシア語、タイ語が用意されており、多くの外国人に一目で伝わるのが特徴です。ホームページからダウンロードして使うことができます。

参照:避難誘導用フリップボードの活用について|小樽市

4.災害多言語支援センターの設置

大地震などが発生した時、外国人に多言語で災害に関する情報を提供するため、被災地の市町村や都道府県が協働して「災害多言語支援センター」を設置することがあります。主な活動は、行政などが発信する情報を翻訳して届けたり、避難所を巡回して外国人被災者の状況を把握したりすることです。災害多言語支援センターは、被災状況によって設置の有無を決めます。

5.多言語に対応した街歩きアプリ

神奈川県藤枝市は、スマートフォン向けアプリ「ふじえだ歩き」を活用して、外国人に多言語で、災害情報や指定避難所への誘導情報を提供しています。本来の目的は、街を歩く人を増やすことですが、災害情報などの発信機能を備えることで、ルート案内機能で最寄りの防災施設を知らせたり、災害情報をリアルタイムで受信したりといった情報発信が可能になりました。日本語、英語、韓国語、中国語(簡体字)の4カ国語に対応しています。

6.自治体とNPO法人などが協力してSNSで情報発信

兵庫県豊岡市は、災害時に外国人に情報提供するため、「NPO法人にほんご豊岡あいうえお」などと協力して、避難情報をSNSなどで伝える取り組みを行っていますLINEFacebookなどのSNS以外にも、ファックスや電話で団体と関係ある外国人に災害情報を伝え、迅速な避難ができるようサポートしています。

7.観光アプリに多言語で防災メールを表示

島根県と松江市は、無料観光アプリ「縁むすびスマートナビ」に防災情報を表示しています。このアプリは観光情報などを提供するものですが、島根県と松江市が発信する防災メールをアプリ内に表示する機能が付属されています。そのため、行政の登録制メールに登録していない外国人観光客でも、英語、中国語、韓国語で災害情報を得ることができます。

8.やさしい日本語による防災行政無線放送

長崎県佐世保市は、日本語が苦手な外国人が理解しやすいよう、やさしい日本語による防災行政無線放送を取り入れています。「避難」ではなく、「安全なところへ逃げてください」と伝えるなど、日常的に使う言葉で呼びかけるように工夫しています。

9.多言語対応の避難所の開設

熊本市国際交流振興事業団は、熊本地震の際に、熊本市国際交流会館に外国人避難対応施設を開設しました。当時、SNSや事業団のホームページ、災害メールで多くの外国人に認知され、日本人もあわせて延べ800人近くが避難宿泊しています。避難対応施設に多くの外国人を受け入れ、さまざまな課題が明確になったことから、国際交流振興事業団は、平時から外国人と日本人が交流する機会を設け、災害時に外国人が孤立しないよう取り組んでいます。

まとめ

日本の地域社会では、働いたり学んだりしている外国人を目にすることが増えました。旅行で日本を訪れる外国人も多くなり、外国人が防災力や災害対応力を高めることは、以前に比べて求められています。

災害時は混乱していることもあり、情報発信は日本語が優先されやすいでしょう。これからは、情報発信や心のケアを多言語で行う必要があります。また、防災の担い手を務める外国人が増えれば、防災に新しい視点が取り入れられ、課題の改善が期待されます。

災害後の対応や災害への備えは、いずれも日本人と外国人の協力が欠かせません。言葉や文化の違いを乗り越えて、相手のことを思いながら力を合わせたいものです。

 

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