スマートフォン(以下、スマホ)は、災害時の情報収集や連絡手段に重要な役割を担います。しかし、使用し続けると充電切れを起こしてしまうため、一般的な防災グッズとあわせて充電器を準備しておくのが安心です。
今回は、防災グッズの1つとして充電器を準備するときのポイントから、おすすめのタイプまで詳しく解説します。災害がいつ起きても対応できるように、今から十分に備えておきましょう。
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スマホは災害時にも役立つ
総務省が発表した2021年のスマホの個人の保有割合は74.3%。災害時には、スマホは情報収集をはじめ連絡手段、健康情報の記録、手元を照らすライトなど、さまざまな場面で役立ちます。スマホは日常生活のさまざまな場面で使用するため、災害時には使い慣れたスマホが手元にあるだけでも精神的な安定にもつながるかもしれません。
しかし、スマホを使いすぎると電池切れのおそれがあります。パナソニックが2,000人を対象にした「防災意識アンケート2021」では、「準備・所持しておけばよかったと後悔したもの」として、モバイルバッテリー(スマホ充電器)が1位(19.7%)に挙がりました。
「情報を集めようと携帯電話を頻繁に使用したため充電がなくなってしまい、逆に外部との連絡が取れなくなってしまった。(40代/男性)」との声も挙がっています。このように、スマホ充電器は災害時に欠かせないものの1つといえるでしょう。
(出典:もしもの備え白書_防災意識アンケート2021|パナソニック(PDF))
防災用に充電器を選ぶポイント
日常的にスマホ充電器を使用している人も多いかもしれませんが、「防災」の観点で選ぶときは、以下のポイントも考慮する必要があります。
1.スマホ以外も充電できるとベター
防災グッズとしての充電器は、スマホ以外の電子機器も充電可能なものだと便利です。例えば「100Vで稼働する家電を充電できるAC出力がある」タイプを選べば、スマホ以外の電力供給にも役立ちます。「ポータブル電源」で検索するのがおすすめです。
スマホ以外の電子機器の充電にも対応できるものを選べば、災害時だけでなくキャンプなどのレジャー場面でも使用できます。このタイプの充電器は重量があるため、持ち運びに不便な場合もありますが、防災グッズとして家庭用に1台備えておけば、自宅避難の際にも安心です。
2.バッテリー容量が大きいものを選ぶ
バッテリーは、できる限り容量の大きいものを選ぶのがおすすめです。災害時は、充電器自体をいつ再充電できるかわかりません。充電可能な容量が小さい場合は、すぐに放電されてしまうため、防災グッズとしてスマホ充電器を準備する場合は「20,000mAh」を目安に選びましょう。
20,000mAhの容量がある充電器であれば、目安としてバッテリー容量が2,500mAhのスマホを約4.5回充電できます。自分使用しているスマホのバッテリー容量を確認し、何回充電可能であるものか、事前に確認するようにしましょう。
3.スマホの使用頻度が少ない場合は軽量タイプを選ぶ
普段の生活の中でスマホの使用頻度が少ない人は、持ち運び可能な軽量タイプの充電器がおすすめです。バッテリー容量が大きい充電器ほど、サイズが大きく重たくなるため、せっかく充電器を購入しても使用しない可能性が高くなってしまいます。
防災におすすめ!充電器の5つのタイプ
充電器にはそれぞれタイプがあります。通常のモバイルバッテリーのほか、乾電池式、手回し式など種類が豊富なので、特徴を押さえて自分に合った充電器を選びましょう。
また、充電器は電池の種類によって適切なメンテナンスを行わなければ、必要なときに使用できなかったり、劣化させてしまったりする可能性があります。そのため、それぞれの製品の取り扱い説明書に従って定期的なメンテナンスを忘れずに行うようにしましょう。
1.モバイルバッテリー
モバイルバッテリーは、充電器の中でもコンパクトで携帯できるタイプです。バッテリー容量が10,000mAhまでのバッテリー容量であれば、男女問わず持ち運びやすい軽量なものもあります。災害時に使用できる日数は1日から2日が目安。普段使いにも便利なタイプであるため、はじめて防災グッズとして充電器の購入を検討している人は、モバイルバッテリーから準備してみましょう。
また、モバイルバッテリーは充電を繰り返すごとに劣化するため、使用回数は一般的にとされています。バッテリーが膨張したり、電源を押しても起動しにくい状態になったりした場合は、買い替えを検討しましょう。
【モバイルバッテリーの特徴】
メリット | ・ コンパクトで携帯しやすい ・ 日常使いに便利 |
デメリット | ・ スマホ以外に充電できない ・ 充電ができなければ1~2日で使用できなくなる |
価格の目安 | 2,000円~4,000円 |
メンテナンスの必要性 | あり |
2.乾電池スマホ充電器
乾電池スマホ充電器は、乾電池式の充電器です。
充電式の場合、本体の電力を放電しきってしまうとスマホなどを充電できません。しかし、乾電池式では乾電池を必要とする分、放電しきってしまった場合でも乾電池を交換することで継続して充電できます。防災向きの充電器として、注目を集めているグッズの1つです。
価格も他の充電器よりも比較的安価であるため、普段使いせずに、防災用として備えたい人には特におすすめです。
【乾電池スマホ充電器の特徴】
メリット | ・ 乾電池を交換すれば継続して利用できる |
デメリット | ・ 乾電池を用意しておく必要がある |
価格の目安 | 1,000円~2,000円 |
メンテナンスの必要性 | なし |
3.ポータブル電源
スマホ以外の家電も充電できる大容量のポータブル電源は、防災グッズとして家庭に1台あると安心です。防水・防塵機能や耐久性に優れたものが多く販売されているため、災害時にも安心して使用できます。
欠点は、サイズや重量が大きく、3kgから6kgほどであるため、持ち運びには不向きです。災害時の使用としては、キャンプなどの屋外レジャーに向いています。
ポータブル電源の寿命は、充電と放電を合わせて1回と換算すると500ほどです。充電可能な容量が少なくなったり、充電に時間がかかったりするようになったら、買い替えを検討しましょう。
【ポータブル電源の特徴】
メリット | ・ スマホ以外も充電で可能 ・ 大容量のバッテリー容量を備える |
デメリット | ・ 大型で重さがある ・ 価格が高い |
価格の目安 | 30,000円~50,000円 |
メンテナンスの必要性 | あり |
4.手回し充電器
手回し充電器は、手でハンドルを回して発電する充電器です。単独で発電できるため、あらかじめ充電したり、乾電池を備蓄したりするなどの手間はありません。ライトやラジオなどの機能が付加された製品もあり、いざというときに役立つ防災グッズの1つです。
しかし、自分でハンドルを回さないと発電しないので、体力を消耗します。手回しタイプのスマホ充電を選ぶときには、少ない回転でも効率よく発電できるタイプを選ぶことが大切です。また「何回・何分回せばどのくらい発電できるのか」を確認することをおすすめします。手回しタイプの充電器は、あくまで災害時の補助ツールとして導入するとよいでしょう。
【手回し充電器の特徴】
メリット | ・ 単独で発電できる ・ ライト付きの製品が多い |
デメリット | ・ 発電効率が悪いものもある ・ 手でハンドルを回すため体力を消耗する |
価格の目安 | 2,000円~4,000円 |
メンテナンスの必要性 | あり |
5.ソーラーパネル式充電器
ソーラーパネル式充電器は、太陽の光を利用して蓄電するタイプです。晴天時であれば、手回し充電器と同様に単独で発電できます。折りたたみ式タイプならコンパクトに収納できるため、持ち運びが便利な点がメリットです。
ただし、天候が悪い場合はソーラーパネルで発電ができません。ソーラーパネル式充電器のみで電力をまかなうのは難しいため、こちらも災害時の補助ツールという認識で導入しましょう。
【ソーラーパネル式充電器の特徴】
メリット | ・単独で発電可能 ・折りたたみタイプだとコンパクト |
デメリット | ・発電効率が悪い ・天候が悪いと発電できない |
価格の目安 | 4,000円~10,000円 |
メンテナンスの必要性 | あり |
まとめ
災害が起きたとき、情報収集や安否確認の連絡ができるスマホは大変役に立ちます。スマホを継続して使用できるように、防災グッズの1つとして充電器を準備しておくと安心です。
防災グッズとして家庭に備える充電器は、大容量のものを選ぶのがおすすめ。スマホ以外の家電などを充電できるポータブル電源があれば、災害時もより安心できます。ただし、普段からスマホの使用頻度が少ない場合は、大容量よりも常に携帯できる軽量タイプがおすすめです。ぜひ当記事を参考に、防災グッズとして充電器を備えましょう。
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