世界の7%の活火山が日本に存在するといわれるほど、日本は活火山が多く、富士山にも噴火の危険性があるといわれています。
火山灰の影響について理解し、日ごろから備えておくとともに、火山灰の対策グッズを準備しておくと安心です。
今回は、火山灰による影響をはじめ、備えておくと役立つ「火山灰の対策グッズ」についてご紹介します。
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そもそも火山噴火とは?
火山噴火とは、火山の火口が開き地球の地下深部で発生したマグマや火山灰が地上に噴出することです。火山の活動の寿命は長く、おおむね過去1万年以内に噴火した火山や、現在も活発な噴気活動のある火山のことを活火山といいます。
日本にある活火山
現在、日本には活火山が近畿、四国を除くほぼ全国に分布しており、総数は111とされています。
熊本県の阿蘇山や鹿児島県の桜島は、ほぼ常に噴煙を上げしばしば噴火を繰り返している活火山です。伊豆大島や雲仙岳、三宅島、有珠島、御岳山は、30年ほどの間に多数の避難者や死傷、行方不明者を伴う噴火災害をおこした活火山です。
一方で、日本で最も高い富士山のように、長期間大きな火山活動が見られない活火山もあります。
現在は、湾や湖となっているような場所でも、かつて大きな火山噴火でできたカルデラ地形(※)を示していたり、市街地沿岸の海底で噴火しりした活火山もあります。
※カルデラ地形……火山が噴火するときにできる大きなくぼみや急な崖で囲まれている円形・多角形の凹地のこと
引用:火山灰が降る地域に加えて、量についても迅速に予報する「降灰予報」がバージョンアップ(図)
火山灰の種類
噴火により噴出する直径2mm以下の固形物を火山灰といいます。火山灰は、小さな粒子ではありますが、1回の噴火で何万トンから何十万トン、さらにはそれ以上の膨大な量が噴出し、風に乗って遠くまで届いて広い範囲の地域に降り積もる「降灰」という被害をもたらします。
火山灰は、上空の風によって風下側に運ばれ、火山灰の粒径は、火口から近いと粗く、火口から遠ざかるにつれて細かくなります。また、火山灰が堆積する厚みは、火口から近いと厚く、火口から遠ざかるにつれて薄くなります。
火山灰にはさまざまな大きさがあります。粒径2.5mm以下の細粒粒子であるpm2.5も含まれており、人間の気管支や肺にも入り込むため対策が必要です。また、大きさが2mm~64mmの固形物は火山礫(かざんれき)、64mm以上のものは火山岩塊(かざんがんかい)とよばれます。
では、火山灰の種類ごとに見ていきましょう。
- 細粒火山灰(さいりゅうかざんばい)
細粒火山灰は付着性が高く、こびりつきやすいのが特徴です。自動車のタイヤの溝に入り込みやすく、自動車のスリップやスタックへの影響があります。また、側溝や下水道管の目詰まりの原因にもなります。 - 粗粒火山灰(そりゅうかざんばい)
祖裕火山灰は、空隙が多いため付着性は低いが、水を含むと重くなります。自動車のスタックへの影響をはじめ、側溝や下水道管の目詰まりの原因にもなります。
火山灰がもたらす影響
火山灰はどのような影響をもたらすのか紹介しましょう。
参考:降灰による影響の閾値の考え方(PDF)
- 健康
・呼吸器疾患、心疾患の症状が悪化する可能性がある
・目、鼻、のど、気管支に異常が起きる危険性がある
・火山灰が皮膚に付着することにより、炎症が起きる可能性がある
・除灰をする際、屋根から転落する危険性がある
・心理的ストレスが上昇する
・長期間の曝露により、慢性珪肺症や炎症反応のリスクが上昇する - 道路
・車線等の視界不良を引き起こし、低速での走行につながる
・道路とタイヤの接地面の摩擦力が低下し、安全確保のために低速走行が必要になったり、走行困難になったりする - 電力
・碍子の絶縁低下や配送電線の切断により停電が発生する
・道路が通行不能の場合、碍子の清掃に時間を要するため、復旧作業に時間がかかる - 上水道
・濁度が基準値を超えると給水が停止される場合もあるにも関わらず、火山灰の清掃等で水の需要は高くなり、水不足になる可能性がある
・火山灰に付着する火山ガスにより、大量の火山灰が原水に混入すると飲料水に適さなくなる - 下水道
・停電エリアや、道路の途絶により燃料が不足し田場合は、処理場やポンプ場の機能停止が発生する可能性がある - 通信
・降灰すると通信機器の利用者が増加増えるため、通信不調に至りやすい
・アンテナに湿潤な火山灰が堆積すると、フラッシュオーバー(※)を起こすことがある
※フラッシュオーバー……火災時に発生する急激な燃焼を伴う現象の一つで、室内の限られた所で起きている火災が、数秒~数十秒のごく短い時間で部屋全体に拡大する現象のこと
火山灰対策グッズ
火山灰は、健康にも生活にも多くの影響を及ぼします。ここからは、備えておくと役立つ火山灰の対策グッズをご紹介します。
外へ避難するとき | 自宅避難するとき |
・ヘルメット ・タオル ・懐中電灯 ・手袋 ・火山灰対策ゴーグル ・火山灰対策マスク ・レインコート ・長靴 ・リュック ・ジップロック等、封ができるポリ袋 ・常備薬 ・携帯ラジオ ・乳児用品 ・介護用品 ・救急用品 | ・水(1日1人3リットル×3日分。可能であれば1週間分) |
上記の表から、対策グッズとしてピックアップして紹介します。
- 火山灰ゴーグル、火山灰マスク
火山灰は、細かい岩石やガラスの破片です。火山灰から目や鼻、気管支、呼吸器を守るため、避難時には顔をしっかりと守れるように、ゴーグルとマスクを着用します。
火山灰が目に入らないよう、気密性の高いゴーグルを用意しておくとよいでしょう。火山灰対策用ゴーグルは、目をすっぽりと覆うようになっているため、マスクや眼鏡をかけていても装着できるようになっています。
また、火山灰マスクは、N95マスクのような、ぴったりと顔に密着し、産業用として認証されたマスクや国家検定区分DS2合格品が明記されているものを選ぶのがおすすめです。認証印は、マスクに印刷されています。これらのマスクは、使い捨てのものが多く繰り返し使用することは推奨されていません。そのため、備蓄は余裕をもった数を備えておくことが大切です。
また、多くの火山灰マスクは一般的に大人の顔にフィットするように作られています。そのため、子供には子供用のサイズを選び、しっかりと顔に密着するものを選ぶ必要があります。火山灰マスクの上をハンカチなどの布で覆うと、マスクの密着性や防じん効果を高めることができるといわれています。
布マスクを重ねたり、濡らしたりしても、火山灰の吸入を防ぐことはできないため、事前に火山灰マスクを十分に準備しましょう。火山灰ゴーグルや火山灰マスクは、ホームセンターやインターネトショッピングで手軽に購入することが可能です。 - ヘルメット
火山灰対策グッズとして準備するヘルメットは、厚生労働省労働安全衛生法の保護帽企画「飛来・落下物用」の型式検定に合格したものを準備しておくと安心です。折りたたみ式のものを選ぶと持ち運びにも備蓄にも便利でしょう。もし、折り畳み式ではなく素材で選ぶのであれば、耐熱性が高く耐候性や耐薬品性にも優れるものを選ぶのがおすすめです。
また、大人と子供が兼用できるサイズ調整が可能なものもあるため、家族構成などにも配慮して準備することが大切です。子供用のヘルメットを用意する場合は、子供の頭のサイズとヘルメットのサイズが合うかどうかを確認しておきましょう。商品により差はありますが、子供用とされる防災ヘルメットは、頭囲がおおむね47~57cmの範囲に設定されています。厚生労働省の平成22年の乳幼児身体発育調査によると、1歳3~4か月児の平均頭囲が47.0cm、3歳6か月~4歳未満が50.1cm、6歳児が51.6cmです。個人差はありますが、おおむね1歳3か月~中学生くらいまでは子供用ヘルメットを用意しておくと安心でしょう。
頭囲が小さく、ヘルメットを被れない乳児には、乳幼児用の防災頭巾を用意しておきましょう。
ヘルメットは種類・素材にかかわらず、使用開始からまたは保管を始めて6年での交換が推奨されています。ヘルメットも、ホームセンターやインターネトショッピングで手軽に購入することが可能です。 - 懐中電灯
火山が噴火すると噴煙で太陽の光が遮られるため、昼間でも懐中電灯が必要になります。スマートフォンなども代用できますが、緊急時の大切な連絡手段になるため、電池はできる限り温存しておくことが大切です。そのため、別途懐中電灯を準備しておきましょう。
避難時に手をふさがずに足元を明るく照らすことが可能な首からかけるタイプなどもあるため、子どもや高齢者など家族構成に応じて選ぶのもおすすめです。
懐中電灯は、ホームセンターや100均で簡単に購入ができます。 - レインコート
レインコートは、ポンチョ型のレインコートがおすすめです。火山灰が身体に付着することを防ぐだけでなく、携帯用トイレを使用するときの目隠しにもなります。レインコートは、ホームセンターやインターネトショッピングで手軽に購入することが可能です。 - ガムテープ
火山灰が降ってきたときは、窓枠の隙間から火山灰が入ることを防ぐ必要があります。ガムテープがあると簡単に窓枠を密閉できるため、準備しておきましょう。ガムテープは、100均や文具店でも手軽に購入することが可能です。 - 封ができるポリ袋
機械類に火山灰が入ると故障するため、携帯電話などはジッパーなどで密閉可能な袋に入れておくと安心です。封ができるポリ袋は、100均でもホームセンターでも購入できますが、スーパーでも手軽に購入が可能です。 - 非常用トイレ
長引く避難所での避難生活や、車での避難生活、断水中の生活に欠かせないのが非常用トイレです。非常用トイレは、水を必要としないため、どこでも使用ができます。また、排泄物を素早く固めて雑菌、悪臭を抑えることができるため衛生的なのです。非常用トイレの防災備蓄に必要な目安は、1日の使用量によって異なりますが、5人家族で1日20~25回分×3日分で60~75回分は用意しておくようにしましょう。非常用トイレは、ホームセンターやインターネトショッピングで購入が可能です。
おすすめの火山灰対策グッズ
ここまで、火山灰対策グッズをご紹介しました。ここでは、自動車や子供向けのおすすめグッズをご紹介します。
- 【車向け】火山灰対策グッズ
車に付着した火山灰をむやみに雑巾でこするように拭いたり、ワイパーをかけたりすると傷がついてしまいます。そのため、モップなどで優しくなでるように落とすようにしましょう。また、しっかりと火山灰を落としたいときは高圧洗浄機を使うと、こびりついた汚れもきれいに落とすことができます。 - 【子供向け】火山灰対策グッズ
子供がいるとどんな対策グッズを備えるべきか悩む方もいるでしょう。しかし、火山灰グッズは特別なものを用意する必要はありません。普段の日常生活でも使用可能なハンドタオルやマスクなどを余裕をもって準備しておくことが大切です。そして、外出した場合は帰宅後の手洗いうがいを徹底し、着替える習慣をもちましょう。
参考:火山灰から呼吸器を守るために 鹿児島大学地震火山地域防災センター
まとめ
今回は、火山灰の種類をはじめ、その特徴や危険性をはじめ、火山灰対策グッズを事前に準備する必要性や種類などについて紹介しました。
日本には、噴火する可能性のある活火山が111もあります。火山が噴火することにより、健康にも生活にも多くの影響をもたらします。そのような火山灰から身を守るためには「自分は大丈夫」「今はまだ大丈夫だろう」と過信せずに、十分な準備をしておくことが大切です。
ぜひ今回ご紹介した火山灰対策グッズを準備し、家族で火山灰ハザードマップを確認し、避難場所や避難の流れなどについて話し合ってみることが大切です。
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人材系の会社で働きながら、副業でライターを始め、育児にも奮闘中の20代。
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