防災体験とは、実際に災害が起きたと想定して、その状況を体感したり、対処法を学んだりすることです。日頃から災害に対して関心を持ち、さまざまな防災に関する知識を得ていれば、有事の際にも冷静に行動できる可能性が高まります。
今回は、地域や自治体で開催されている小学生から大人に向けた防災体験を紹介します。
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【小学生向け】防災体験7選
小学生向けには、楽しみながら防災について学べる防災体験を選ぶことで、防災の知識がより深まりやすくなります。たとえば、インストラクターが一緒のイベントや、興味を持ちやすい場所・キャラクターを活用した防災体験がおすすめです。ここでは、小学生向けの防災体験を紹介します。
1.東京直下72h TOUR
東京葛西臨海公園の防災体験学習ができる施設「そなエリア東京」では、地震発生後の生存力を身に付ける防災体験学習ツアー「東京直下72h TOUR」が開催されています。この体験ツアーでは、震度7の地震が発生したと想定して、クイズに答えながら避難までをツアー型で体験できます。
エレベーターが緊急停止したり、暗い通路を非常放送に従って移動したりするため、災害時をリアルに体感できるでしょう。また、タブレット端末を使用して、防災クイズや危険な場所の確認ができるので、避難時に必要な防災知識を深めることができます。
2.インストラクターと防災体験ツアー
千葉県の西部防災センターでは、インストラクターによる体験ツアーが開催されています。起震装置を使用した地震体験や火災・救急時の119番通報体験、災害時の応急救護体験などができます。また、スタンプを集めながら楽しく防災の知識を深める「子どもツアー」は、小学生におすすめの防災体験です。
3.防災体験~学校に泊まろう~
愛知県名古屋市中村区の豊臣小学校では、災害発生時に小学校の体育館に避難したと想定して、防災体験を行いました。2日間で豊臣小学校の児童や保護者など120人が参加しており、そのうち約40人の児童は体育館での宿泊体験をしています。炊き出し訓練や煙道体験などのほか、学校内で肝試しを行うことで停電発生時の移動体験も実施されました。
4.チャレンジ体験メニュー
福島市が実施する防災事業「チャレンジ体験メニュー」は、市内の小学校や地域の行事として導入されている防災体験です。「平時」「災害発生時」「避難生活時」の3つのメニューがあり、災害時の各場面を想定してそれぞれの対処法を学ぶことができます。防災クイズや災害脱出救済リレー、炊き出し競争など、楽しみながら防災知識を身に付けられる工夫がされていました。
5.本格的な実験施設での水害体験
水害体験を実施している京都大学防災研究所流域災害研究センター宇治川オープンラボラトリーは、さまざまな水害の観測や実験を行う総合実験施設です。研究活動や研修、実習などを行っているほか、一般企業や学校、一般市民を対象としたバーチャル災害体験学習ができます。基本的には、防災教育での学校行事や防災業務を主としている団体が見学できる施設ですが、それら以外で見学したい場合は10月頃に開催される公開ラボに応募する必要があります。
6.日本最大級の防災イベント「ぼうさいこくたい」
内閣府や防災推進協議会などが主催する「ぼうさいこくたい(防災推進国民大会)」は、2016年から毎年開催されている防災イベントです。例年、趣向を凝らしたイベントが開催されており、2019年には、子ども達に人気の「うんこドリル」でおなじみのうんこ先生による防災教室が開かれ、参加者には「うんこぼうさいドリル」がプレゼントされました。2023年は、9月17日(日)、18日(月・祝)に横浜国立大学で開催します。
参照:ぼうさいこくたい2023
7.子供向け防災体験ワークショップ
東京都中野区の東中野5丁目小滝町会では、子どもや若い世代が積極的に地域の防災訓練に参加できるプログラムを実施しました。バケツリレーや防災スタンプラリー、避難袋コンテストなど、ゲーム感覚で学べる子供向けのワークショップを行い、幅広い世代が交流する機会となったことで、地域の防災力向上が望めるイベントとなりました。
参照:子供向け防災体験ワークショップ |東京都生活文化スポーツ局
【中高生向け】防災体験7選
小学生に比べて体が大きく、考える力が育っている中学生や高校生は、考えながら体を動かす防災体験ができるようになります。たとえば、被災した人の救助方法や夜間を想定した防災体験など、より実践的なプログラムが実施できるでしょう。ここでは、中高生向けの防災体験について紹介します。
1.防災館で開催されるナイトツアー
豊島区にある池袋防災館では、毎週金曜日に夜間の災害を想定したナイトツアーが開催されており、中学生以上であれば、保護者の付き添いなしで参加できます。視界が制限されたなかでの地震や消火活動などを経験することで、もしもの時の対応方法を身に付けることができるでしょう。
2.リアルに再現された震災現場で救出救助体験
東京都立川市にある立川防災館では、中学生以上を対象に、野外や寝室、事務室などでの被災を想定した屋内での救出救助体験を行っています。リアルな震災現場を再現した場所で救助者の捜索や救出を体験することができます。
3.消防士の職場体験から防災を学ぶ
京都市消防局の南消防署では、中学生を対象とした消防士の職場体験「生き方探究・チャレンジ体験」を行っています。災害時に消防士が行う放水訓練や心肺蘇生法、AED取り扱い訓練、救助訓練などに参加します。
ほかにも、実際に消火服と呼吸器を装備し、煙がいっぱいになった部屋を想定して要救助者を探す訓練や、ロープを使って建物から降りる訓練などを実施。消防士の視点から火災現場を体験できます。
参照:「生き方探求・チャレンジ体験」区内の中学生が消防士を体験!
4.自衛隊員による防災体験講座
自衛隊による防災体験講座は、自衛隊員が中高生に対して防災に関する技術を提供する取り組みです。担架の使い方やロープの結び方などを自衛隊員から教わります。
また、広島の自衛隊協力本部では、応急救護体験やロープワーク体験といった「体験型プラン」のほかにも、災害時に使用する自衛隊車両を見学する「見学型プラン」や、自衛官講師が防災についての講話をする「講話型プラン」があり、希望によって自由にプランを組み合わせることが可能です。
5.非常食つくり体験・避難所体験
千葉県立姉崎高等学校では、災害時に学校と地域が連携できるよう地震防災に関する取り組みを行っています。2023年度に行った「非常食つくり体験」では、ハイゼックス米を使った炊き出しやかまどの作り方などを学んでいます。「避難所体験」では、板の間に作成した段ボールハウスの寝心地を体験。避難所に必要なものについて考えました。
6.避難所生活体験
静岡県の掛川市立栄川中学校では、毎年1年生を対象に避難所生活体験を実施しています。
中学校の体育館で避難生活を送ることを想定して、1泊2日の宿泊体験を行いました。1日目は炊き出しやパーティションの設営、2日目は心肺蘇生訓練などを学びました。
7.藤枝市防災フェスティバル
静岡県藤枝市の葉梨中学校では、2022年5月7日に2年生を対象とした防災学習事業「防災フェスティバル」を開催しました。生徒たちは、かまどベンチの組み立てや毛布を使った要救助者の運搬など、避難所の資機材を設置する訓練や救助救出訓練といった実働訓練を体験しました。
参照:葉梨中学校の 2 年生が「防災フェスティバル」を実施!
【大人向け】防災体験6選
災害時は、大人が中心となって支援活動や救護活動などをしたり、子どもやお年寄りを気づかった行動が求められます。ここでは、大人向けの防災体験について見ていきましょう。
1.一日前プロジェクト
「災害の1日前に戻れるとしたら、あなたは何をしますか?」というテーマで、体験談から災害に対する知識を学ぶ取り組みが「一日前プロジェクト」です。被災者の方々に災害時の心配事や困ったことについて回答してもらい、自分だったらどう行動・対応するかを考え、実際に実行できるよう準備することが目的です。
徳島県防災・危機管理情報で公開されている一日前プロジェクトでは、地震発生のショックで多くの人が冷静に考え行動できなくなったエピソードが紹介されており、災害時マニュアルの重要性を理解することができます。
参照:一日前プロジェクト
2.外国の方のための防災体験
豊島区の池袋防災館では、外国の方を対象とした防災体験を実施しています。日本に住む外国の方に防災知識の習得が求められていることから、日本語が母国語ではない方も気軽に体験できるよう配慮されたプログラムとなっています。震度7の地震や消火活動、救助活動を体験したり、煙の中を歩いたりといった防災体験ができます。
参照:池袋防災館のイベント情報
3.地域の防災をサポートする「体験型防災プログラム」
大分市日田市が地域における防災をサポートする「体験型防災プログラム」。ハイゼックス米を使った調理体験や、災害時の危険個所を地図上に記載するハザードマップづくりなど、12のプログラムが用意されています。
独自の防災プログラムを提供することができるため、地域住民の希望を柔軟に取り入れられる取り組みとなっています。
参照:地域みんなで参加できる「体験型防災プログラム」のご案内
4.VR防災体験車
東京消防庁で利用できるVR防災体験車は、地震や火災などの災害の怖さをバーチャル体験できます。VRシステムで再現された災害現場を、専用のゴーグルを付けて乗車することで臨場感の溢れる災害体験が可能です。
災害の模擬体験を通して、避難する際の注意点やパニックにならないための意識の持ち方などを学べます。災害の怖さを理解することにより、防災意識を高めることも目的の一つです。
5.防災キャンプ
文京区では、区民在住の方を対象とした防災キャンプを実施しました。炊き出しや就寝の際に使用する段ボールベッド作りなどを行い、限られた環境の中で工夫しながら参加者と共に過ごす体験をします。
簡易浄水器を作成するサバイバルスキルの習得や、暗闇のなかで障害物競走を行うレクリエーションなどを取り入れ、楽しみながら避難所体験ができるよう工夫されています。
6.障がいのある方を対象とした「要支援者避難コース」
堺市消防局では、障がいを持ち災害時の避難に不安がある方が防災体験ができる「要支援者避難コース」を実施しています。映像と連動して揺れる起震装置で地震体験をしたり、火災時に煙のなかを非難する方法を学んだりします。
また、車いすや高齢者疑似体験キットを活用して、悪路での避難を体験することで、支援が必要な人に合わせた補助方法や共助の重要性を学びます。
大人も子どもも楽しめる!IKUSAの防災体験アクティビティ
地域や企業、自治体などへ「遊び」を通して防災を学べるイベントを提案している株式会社IKUSAでは、防災に関するさまざまなアクティビティを展開しています。ここでは代表的な防災体験を紹介します。
防災ヒーロー入団試験
体験型の防災プログラム「防災ヒーロー入団試験」は、身体を使って楽しく防災を学べるアクティビティで、大人も子どもも楽しみながら参加することができます。防災ヒーロー入団試験では、防災を5つのフェーズ(事前準備、災害発生、発生直後、避難生活、生活再建)に分けて体験ができるので、被災状況によって何をすべきなのかを理解しやすいのが特徴です。
防災スリッパ作りやスモーキー迷路、防災クイズラリーなどさまざまな種目があり、1種目15分程度でクリア可能。子どもたちは種目ごとに防災メダルを受け取ることができ、最後は集めた防災メダルを防災ヒーロー入団証と交換します。
防災運動会
防災運動会は、運動会と防災を合わせたアクティビティです。幅広い年代が参加できるよう、楽しく身体を動かしながら防災知識が得られる工夫がされています。防災クイズラリーや非常食体験会、避難所ジェスチャーゲームなど、さまざまな種目が用意されており、企業の運動会やレクリエーション、自治体のイベントやお祭り、防災啓発イベントなど、さまざまな場面で開催が可能です。災害対策は、水害が多い地域なのか、会社での業務中に起こる災害なのかなどによって変わります。そのため、参加する方との関係性や地域などに合わせて、競技内容をカスタマイズすると、より効果的な防災体験が実施できます。
参照: 災害体験型アクティビティ 防災運動会 | IKUSA.JP
まとめ
災害は多くの人の命を脅かすことがあるものです。防災への関心を高め、被災した際に自分と周囲の人を守れるように備えましょう。
年齢に関係なく、被災時は「適切な行動・対処」をする必要があります。そのためには、日頃から防災体験への参加を意識し、いざという時のシミュレーションを体感しておくことが大切です。
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