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防災対策に役立つ!企業で明日から使える防災対策をご紹介

あるぱか あるぱか
防災対策に役立つ!企業で明日から使える防災対策をご紹介

近年の災害増加をふまえて、防災対策を検討している企業も多いのではないでしょうか。東日本大震災の際には、交通機関が麻痺したことで、約515万人の方が帰宅困難者となりました。同規模の災害が、もし東京都で発生したら……いったいどれだけの帰宅困難者が生じるか想像すらできません。

そこで必要となるのが「企業の防災対策」です。自社の従業員が帰宅困難者となり事業所内に待機する事態となっても、防災対策ができていれば慌てずに済みます。

今回は、主に中小企業の防災担当者に向けて、企業が実施すべき防災対策のポイントをご紹介します。災害が起こる前に事前に準備しておくこと、災害時にとるべき行動、復旧に向けて抑えるべきポイントについて解説しているので、ぜひ自社の防災対策にお役立てください。

防災対策を進める上での課題

20188月から9月にかけて、西日本を中心に猛威を振るった台風19号。中小企業の被害総額は約4,738億円にも上りました。やむなく従業員を全員解雇した企業や、事業停止で顧客離れを起こした企業など、経済に深刻な影響を及ぼしました。

災害が企業活動に深刻な影響をもたらす危険性は明白です。それにもかかわらず、積極的な防災対策を行う企業があまり見られないのはなぜでしょうか。ここでは、そんな防災対策の課題をご紹介します。

意識啓発の不足

ハザードマップを見たことがない中小企業は34%に上ります。背景にあるのが中小企業が直面している経営課題。収益性の向上や売上、シェアの拡大などで、防災対策の優先度がどうしても低くなってしまうのです。

また実際にBCPや保険といった災害リスク対策においても、「自社では特に重要ではない」「災害には遭わないと思っていた」と楽観視する企業が少なくありません。つまり防災対策を阻んでいるのは、企業の防災リスクに対する意識の低さと、それを改善するための啓発活動の不足なのです。

一方で、「経営層の経営判断」「顧客への供給責任」などを理由にBCPを導入しているケースもあります。しかし多数派をしめるには至らず、一部の中小企業にとどまっている状況です。

事前対策の現状

防災リスクに対する中小企業の事前対策の現状を見てみましょう。

企業の防災対策としてはBCPが有名です。しかし中小企業ではほとんど策定されていません。中小企業ですでにBCPを策定済みと答えた企業は15.5%にとどまり、策定中や計画中も含めても35.6%にとどまっています。

また大手企業と比較しても、災害時の連絡体制や、顧客データのバックアップ、重要拠点の耐震化など、事前の対策がまだまだ不十分な状況です。

実際に、事前の対策不足で被害にあった企業では、「河川の氾濫により主要設備がすべて水没し、使用不能になった」「代替生産拠点を確保しておらず、事業再開に時間がかかり、顧客を失ってしまった」など、被害にあってから防災対策の重要性を痛感したようです。

こういった不測の事態に対応するためにも、事前の防災対策が欠かせません。

リスクファイナンス

災害の被害にあった場合、事業を再開するための資金を確保するための手段として保険があります。中小企業の保険加入割合は、火災、風水災、地震なども含めて66%となっており、一定程度対策を行っている状況です。

ただ、実際に被災した中小企業以上が事業再開にかかる費用は500万円以上。保険に加入済みの企業でも、カバー率は3割未満です。事業再開に要する莫大な費用を賄い切れていない状況が明らかとなっています。

(参照)中小企業庁│中小企業の防災・減災対策に関する 現状と課題について(PDF)

防災対策のポイントをご紹介


ここからは防災対策において、企業が事前に備えるべき項目をご紹介します。実際に被災してから「あのときにこうしていれば……」と後悔しないように、自社で取り入れられるとこから導入していきましょう。

事前に備えておくべきこと

災害が起こってから対策をしても手遅れです。普段から対策しておくことが、社員の身の安全の確保や事業継続にとって重要ですので、事前対策を怠らないようにしましょう。

事前対策としては、次に挙げる項目を最低限抑えるのがおすすめです。

  • 防災の任務分担

普段から建物や防火、避難設備、消防用設備の状態を確認し、いざというときに必要な対応ができるためには、事前に役割分担を決めることが重要です。

  • 建築物の安全確認・什器類の固定

自社の建物が1981年以前のものであれば、旧耐震基準のため安全性に注意が必要です。耐震診断を受けるだけでなく、日頃から建物の外観にひび割れがないか、土台や柱、壁などが老朽化していないか確認しましょう。

建物内部の対策としては、まずコピー機やキャビネットなど大型の什器類を固定してください。強い地震が起きると高層階になるほど揺れが強くなり、什器の移動・転倒・落下が発生しやすくなります。什器類は非常に重く頑丈なので、人間にぶつかると危険です。

また大型の什器類が転倒などを起こした場合に備えて、周辺に人があまりいない広めの場所に設置することもポイントです。

  • 避難経路の確保

廊下や出入り口となる避難経路周辺には、物品や什器類を置かないようにしましょう。地震の際に物品や什器類が散乱すると、避難の妨げとなるだけでなく、室内に閉じ込められる危険性があるからです。

また併せて、いざというときにスムーズに避難できるよう、複数の避難経路を想定しておきましょう。

  • 備蓄品・救助用品の準備

初期消火や救護活動のために必要な資材類を準備し、いつでも使用できるように確認しておきしましょう。

大規模な災害が起きるとライフラインや公共交通機関が停止します。そのため社員を事業所内で一時的に待機させることもあるでしょう。最低限命をつなぐためには、3日分の水や食料品の備蓄のほか、毛布・簡易トイレなどを社員の人数に合わせて準備してください。消費期限切れにならないよう、担当を決めて定期的に点検することも大切です。

また備蓄品や救助用品は、一か所にまとめて保管せずフロアごとに分散して管理するようにしましょう。

  • 安否確認方法

災害時の連絡体制に関しても事前に決めておきましょう。安否確認の方法は電話やSNSなどさまざまあります。一般的なのは携帯電話やスマートフォンですが、災害時は回線が込み合うため、その他の方法も確保しておくのが無難です。

社員に対しても家族との安否確認方法を事前に決めておくように伝え、実行してもらいましょう。

  • 防災訓練の実施

計画や準備を進めていても、災害時には想定外の結果が起きます。イレギュラーな事態にも対応できるよう、定期的に防災訓練を実施するのがおすすめです。防災訓練の内容を検討されている方は、ぜひ下記の記事も参考にしてください。

防災訓練がコロナ禍でもできる!防災訓練の手順や事例をご紹介(←公開後にリンク設置)

コロナ禍で防災訓練が実施できないと悩んでいる企業は、オンラインでできる防災訓練もあるので検討してはいかがでしょうか。

コロナ禍でもできる防災訓練|おうち防災運動会

災害時の活動計画

いくら防災対策を整えていても、災害発生時の役割分が決まっていないと、社員がバラバラに動いてしまい二次被害を引き起こすおそれがあります。事前に役割分担を明確にしたうえで、迅速に行動できる体制を整えておきましょう。

  • 災害発生時の任務分担

役割分担の種類として必ず必要なのが、全体の意思決定を司る責任者(リーダー)を決定します。

その他、次の5つの役割は最低限必要です。

  1. 地震による火災などの二次被害を防ぐ初期消火・出火防止担当
  2. 救急隊への通報、被害状況の情報整理、社員への安否確認などの情報担当
  3. 避難経路、避難場所への誘導を行う避難誘導担当
  4. 非常用電源や非常用備蓄品、資機材の配布、管理をおこなう安全防護担当
  5. 応急救護場所の設置、応急処置を行う応急救護担当。 

    これらの役割分担を自社の人数や状況に合わせて事前に設定し、有事の際には担当者の指示に従って行動します。また何らかの事情で担当者が対応できないケースに備えて、代理の担当も事前に設定しておきましょう。

    • 災害発生時の初動対応

    身の安全を確保するためには、適切な初動対応が必要です。

    たとえば地震の場合であれば、強い揺れが発生する数秒から数十秒前に緊急地震速報が通知されます。通報が鳴った瞬間に、転倒する可能性がある什器類からは離れて机の下などに隠れましょう。逃げ込める場所がないときは、周囲に転倒や移動、落下のおそれがない開けた場所まで避難してください。

    • 初期消火

    地震による二次被害として火災が発生する可能性があります。揺れが収まり次第、安全を確かめながら有志による消火活動を開始しましょう。

    ただし、人数の少ない事業所で同時に2か所以上から出火した場合は、人命に対する影響をふまえて避難を最優先してください。特に天井に火が燃え移っている場合は消火が難しいため、一刻も早く避難しましょう。

    • 情報収集

    災害時はさまざまな情報が飛び交います。混乱しないよう冷静な状況整理が肝心です。そのためには、情報収集の担当者が適切に情報を集約し、全体の責任者(リーダー)に伝達して意思決定できるようにしましょう。また社員の安否確認の状況をとりまとめ、自社の状況把握に努めることも大切です。

    • 救出救護

    地震によって建物の倒壊や壁・天井の崩落が発生し、建物に閉じ込められたり、下敷きになったりする場合があります。

    大災害の場合は、同時に多くの怪我人が発生するため、救急隊の救助や病院での手当が受かられないこともあるでしょう。そのため自社で最低限の救助や応急処置ができるように準備しておく必要があります。

    救出活動は、避難経路を確保したうえで行いましょう。建物の下敷き事故と同時に火災が発生している場合は、消火活動を優先的に行います。二次被害を起こさないように、個人行動は慎み、周囲の方々と連携しながら救助活動を進めてください。 

    • 避難方法

    火災の延焼拡大、津波、高潮などの危険性がある場合は、速やかに避難場所に移動しましょう。

    災害によって道が塞がっている可能性もあるため、あらかじめ避難経路は複数想定しておきます。避難する際は、社員の人員確認を行ったうえで行動を開始します。移動時の混乱を避けるため、拡声器やメガホンを使って避難誘導を行うのがおすすめです。

    事業再開までの復旧計画

    大災害の発生時は、ライフラインが途絶し、回復までに時間がかかることも珍しくありません。ライフラインが途絶した場合い企業ができることは、被害状況の把握と代替策の確保、そして復旧作業をスムーズに行い、早期の事業再開に向けて動くことです。

    • 被害状況の把握

    地震により、建物や設備の思わぬ箇所に損傷を受けている可能性があります。倒壊・損傷状況を把握し、安全に作業できるようにしましょう。

    • ライフラインの代替策

    電気の代替策として、自家発電設備やバッテリーなどが準備できているかチェックしましょう。ガスの代替策には、プロパンガスボンベ、灯油、カセットコンロなどがあります。上下水道の代替策は、受水槽、井戸、貯水池、浄水装置、備蓄された飲料水、簡易トイレなどです。

    • 復旧作業

    復旧作業は、通常業務とは異なる作業であるため、安全管理体制をしっかり整備したうえで行ってください。危険個所や立ち入り禁止箇所を事前にアナウンスすることが非常に重要です。活動の際は二次被害を起こさないように安全に十分配慮しましょう。

    企業の防災対策事例


    ここからは、企業の防災対策事例についてご紹介します。今まで説明した内容を踏まえて、自社で取り入れられる内容があればぜひ実践してみてください。

    プルデンシャル生命保険株式会社

    プルデンシャル生命保険株式会社では、社内の災害対策本部要員や管理職向けに、大規模災害対応模擬訓練を実施しています。

    2015年までに延べ65回実施し、参加者は1500名以上ととても積極的です。この活動を軸として、社内各拠点に防災推進担当を配置し、定期的に防災への取り組みを進めている点も特筆すべきことでしょう。

    この大規模災害模擬訓練は、災害想定シナリオを提示しない形式で行っているため、参加者は臨機応変な判断能力が求められるところが特徴です。この他にも、本社屋に泊まり込んで行う帰宅困難者対応訓練など、幅広い防災対策に取り組んでいます。

    プルデンシャル生命保険株式会社(PDF) 

    大成ロック株式会社

    大成ロック株式会社は、インフラ整備に関連する舗装工事業を行っている会社です。事業内容からも災害時の事業復旧に関与する会社であることが明らかだといえます。

    同社では、事業継続計画を策定し、行動指針、組織体制、対応策などを明確化しています。また災害時に社員が適切に行動できるように計画内容を見直し、定期的に訓練も行っています。

    東京都内の会社ということもあり、帰宅困難者対策にも力を入れています。3日間の飲料水や食料、一人用テントなどを社員の人数分用意するだけではなく、社外の帰宅困難者も収容できるように、備蓄に余裕を持たせて対策しています。

    大成ロテック株式会社(PDF)

    齋藤建設株式会社

    斎藤建設株式会社は、山梨県で建設業を行っている会社です。災害時でも事業を継続できるように、太陽光発電システムや発電機を導入しています。

    東日本大震災の際、固定電話や携帯電話が不通になり、現場の被害状況把握や社員の安否確認に時間がかかった経験から、連絡手段の確保にも力を入れています。災害時でも通信手段が確保できるように、防災無線の親機1台、子機20台を導入。会社を基地局として社員間の連絡手段を確保しています。

    齋藤建設株式会社(PDF)

    まとめ


    災害はいつ起こるかわからないからこそ、普段からの準備が重要です。それは個人でも企業でも同じことでしょう。

    もちろん企業の状況によっては、防災対策を考えるゆとりがない場合も多いでしょう。すべてを一度に準備するのではなく、できることから少しずつ準備を進めるのでも構いません。

    まずは社員の身の安全を守るために、最低限の備蓄や防災訓練などを実施し、ゆくゆくは防災計画やBCPといった専門的な内容に取り組むのが理想的です。

    あるぱか
    この記事を書いた人
    あるぱかあるぱか

    学生時代から東日本大震災をはじめ、全国各地で災害が起こる度に、災害救援に赴く。現在は「日常の中に当たり前に防災意識を」という考えのもと、防災事業の立ち上げを行う。事業内容は防災をおしゃれに、もっと身近に感じられる機会を提供するための防災カタログギフト制作を行いつつ、防災系記事の執筆も担当。

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