地震や洪水、台風などが頻繁に起こる、自然災害大国である日本。昨今では、企業としても災害によって被害を受けるリスクが身近になったきたため、従業員を含め企業防災の知識を向上することが必要になってきています。
防災教育を実施したいものの担当者に防災の専門的な知識がなく、どのように防災教育を進めるべきかがわからない、という企業もあるでしょう。
そこで本記事では、企業の防災教育に役立つ防災関連の資格について、民間資格・国家資格をそれぞれ紹介します。中には独学で学習・取得できる資格やオンライン上で学べる講座もあり、従業員それぞれの生活スタイルに合わせて防災の知識を深められます。
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防災教育に役立つ民間資格6選
ここでは、防災関連の民間資格について紹介します。どの防災資格を目指せばいいか悩んでいる人は、まずはこのうちの1つの取得を目指すといいでしょう。
防災士
防災士とは「自助・共助・協働」を原則として、社会の様々な場で防災力を高める活動を行うために、一定の防災知識や技能を修得したことを日本防災士機構が認定した資格です。年齢や職業を問わず取得できるため人気があり、現在(2023年8月)までに、260,000名以上が日本防災士機構によって認定されています。
参考:日本防災士機構|防災士資格の認定、防災士制度の推進 (bousaisi.jp)
昨今では、全国の地方自治体や教育機関、民間研修機関などで積極的な防災士養成の取り組みが進められ、防災関連の民間資格では有名な資格です。
防災士資格を取得するには、日本防災士機構が認証した研修機関が実施する防災士養成研修講座を受講し、防災士資格取得試験に合格しなければなりません。さらに、全国の自治体や日本赤十字社等の公的機関などが主催する救急救命講習を修了することで、防災士資格が取得できます。
参考:日本防災士機構|防災士資格の認定、防災士制度の推進 (bousaisi.jp)
防災危機管理者
防災危機管理者は、一般社団法人教育システム支援機構が認定する民間資格です。防災危機管理者は防災・減災に対して十分な意識などを有し、災害発生時の避難誘導・人命救助、地域防災などの場面におけるリーダーとしての役割を担うことが求められています。
防災危機管理者を取得するには、防災危機管理者講座を受講し、総務省消防庁が提供する「防災・危機管理e-カレッジ研修」を使って防災や危機管理の学習と実力判定を行います。その後、各消防署や自治体などで実施される普通救命講習、もしくは日本赤十字社や各種団体などで実施される救急法講習の受講を終了することが必要です。
参考:防災危機管理eカレッジ
防災検定
防災検定は、一般財団法人防災教育推進協会が運営する日本で唯一の防災関連の検定で、防災を担う人材を幅広く育成することを目的としています。検定級は5級から1級までの全6階級(準2級を含む)があり、1級は企業や地域で防災教育の指導者を目指す人向け、2級は企業や地域で防災に関わる仕事をしている人向けという内容です。
受検の際には希望の日時・場所の指定が可能であり、社内の防災教育の一環として従業員全員で団体受検することもできます。
危機管理士
危機管理士は日本危機管理士機構が認定する民間資格で、自然災害や社会リスクの発生時に組織や地域のリーダーとして行動できる人を指します。主に行政や団体、民間企業などの危機管理担当者を対象としています。
危機管理者資格は、危機管理士機構に入会して危機管理士(自然災害)2級と危機管理士(社会リスク)2級を受講した後に、最終日の試験に合格することで取得できます。なお、危機管理士2級の自然災害・社会リスク両方の資格取得後2年が経過すると、危機管理士1級試験の受検が可能となります。
日本赤十字社のセミナー・ボランティア
日本赤十字社は、全国の支部や赤十字施設などで救急法講習や防災セミナーなどを開催しています。救急法の基礎講習では手当の基本、人工呼吸や心臓マッサージの方法、AED(自動体外式除細動器)を用いた電気ショックなどを習得でき、いざという時に人を助けられる知識として役立ちます。防災セミナーは原則として地域住民を対象に、災害時の備えや避難の心得について学ぶ内容です。地域に合わせた内容で知識を深めることができるので、活用するといいでしょう。
また、災害ボランティアとして活動したい人を対象に、災害ボランティアセミナーも開催しています。
防災教育役立つ2つの国家資格
次は、防災関連の国家資格について紹介します。取得難易度は民間資格よりもハードルが上がりますが、専門性をもって災害時に活躍する職業にも生かすことができ信頼度も高いので、ぜひ検討してください。
防火管理者
防火管理者とは、消防法により学校や病院、工場や百貨店など、多数の者が出入・勤務・居住する防火対象物において、火災予防のために必要な業務を推進する責任者のことを指します。指定された防火管理講習を受講することで取得ができる国家資格です。
防火管理者は、消防計画の作成や消火・通報・避難訓練の実施、消防設備や火気設備等の点検・整備など、火気の安全性に関連する業務を行います。
防災管理者
防災管理者とは、大規模・高層の建築物等(防災管理対象物)において、地震その他の「火災以外の災害」による被害を軽減するため、防災管理に係る消防計画を作成し、防災管理上必要な業務(防災管理業務)を計画的に行う責任者のことを指します。
防火対策と防災対策の一元化を図るため、大規模な建築物(防災管理対象物)においては「防火管理者が行うべき防火管理業務は、防災管理者が行うこと」とされており、防災管理者の資格取得のために防火管理者を取得する必要があるので、防災管理者は防火管理者を兼任することができます。
まとめ
今回は、防災関連の民間資格・国家資格それぞれについて紹介しました。企業の防災教育の一環として役立つ防災資格はいくつもあり、企業防災に対してどの立場で取り組むかでも目指すべき資格は変わってきます。
企業防災の担当者であれば専門的に、一般の従業員であれば企業の一員として責任ある行動がとれるように、それぞれ必要な知識を深めるといいでしょう。いざという時に困らないよう、平常時に検討しておくことをおすすめします。
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