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防災と減災の違いとは?企業が実施すべき防災対策をご紹介

あるぱか あるぱか
防災と減災の違いとは?企業が実施すべき防災対策をご紹介

あそび防災プロジェクト

近年、大規模な自然災害が増加しています。事前に被害を想定していても、どうしても想定外の被害が発生する可能性が高まっています。今回は「防災」と「減災」の違いや、企業で取り組むべき減災対策についてご紹介させていただきます。

自然災害による被害は、企業の事業継続に直結する部分ですので、今後の減災対策の参考にしていただければと思います。

 

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「防災」と「減災」の違い

「防災」と「減災」は非常によく似た言葉ですが、実はこの言葉には大きく異なる点があるのをご存知でしょうか。それは、災害による被害の発生を想定しているかどうかの違いです。「防災」は、災害による被害を防ぐことを目的としています。ただ、災害による被害を完全に防ぐことは難しいのが現状です。そのため、「減災」の考え方は、災害が起こるものとして想定を行い、被害を最小化させることを目的としています。

この「減災」という考え方は、1995年に発生した阪神淡路大震災から普及し始めました。当時の想定を遥かに超える未曾有の大災害が発生したことにより、多くの方々が犠牲となりました。建築基準法も、大規模な災害が起こる度に改定されていますが、想定外の自然災害は発生してしまうのが現状です。

東日本大震災の際にも、事前の想定を超えた被害が発生しています。当時、世界最大クラスの防潮堤として、岩手県宮古市田老地区に建造されていた、高さ10m、総延長2400mの通称「万里の長城」が決壊したのです。世界最大級の防潮堤だったため、周辺住民も「まさか万里の長城を超えて津波が来ることはないだろう」と考えていた方が多く、逃げ遅れて被害にあった方が多発しました。

このように、どれだけ防災対策を行っても、災害による被害を完全に抑えることは難しい状況です。今後も首都直下地震や南海トラフ地震、台風、豪雨など、大規模災害が予測されている状況だからこそ、災害は起こるものとして、事前に被害を最小化する「減災」の取り組みが大切です。

減災を進める事前の備え

ここでは、実際に災害による被害を最小化するための考え方や対策についてご紹介します。未曾有の大災害が起こり得る状況だからこそ、他人事にせず、すべての方や企業が対策を行っておきましょう。

自助、共助

減災を進めていくためには、まず「自助」、「共助」が大切です。阪神淡路大震災の際に、家屋の倒壊で生き埋めになった方々の9割以上が、家族や友人、地域の方など、「自助」「共助」の活動により救助されました。救助隊や行政などの「公助」による救助は、ほんの数%だったと言われています。

こちらの記事で「自助」「公助」について紹介しているので、ご興味のある方はこちらもご確認ください。

防災における「自助」、「共助」、「公助」の必要性

企業における「自助」とは、災害発生時に自社の社員の安全を確保することです。備蓄品を用意することや、日々の防災訓練など、まずは自分たちの受ける被害を最小限にすることが求められます。そして従業員の自宅や、家族を含めた対策も重要です。災害時に、家族の安否確認がとれない、家庭での備蓄が不十分などの要因で、社員の出社は困難になり、事業の継続や早期復旧に影響を及ぼします。自社内の対策と並行して、社員の家族や家庭の対策も進める取り組みを行いましょう。

また企業によっては「共助」の取り組みとして、地域と防災協定を結び、災害時の避難場所として、帰宅困難者の受け入れを行っている企業もあります。 

地域の危険を知る

対策を進める前に、そもそも住んでいる地域にどういった危険があるかを、把握することが重要です。本社や支店、工場、営業所など、各拠点における災害リスクはどういったものがあるのか。またその中で、最優先で対策すべき事項は何なのか。こういったリスクを把握した上で対策するようにしましょう。

国土交通省が運営しているハザードマップポータルサイトでは、災害リスクを一目で確認できます。各拠点で防災対策を進める上で、ぜひ確認してみてください。また、実際に防災訓練の一環として、周辺の街歩きなども有効です。普段なら気付かない災害リスクの把握や、防災設備を確認することで、いざという時に備えることができます。 

家具類の固定・配置

東京都防災会議の「首都直下地震による被害想定」によると、想定負傷者16万人のうち、約54000人が、家具類の転倒・落下により負傷すると想定されています。普段仕事をしているデスク周辺に、転倒や落下の可能性がある物を置いていないでしょうか?

背の高い家具は、倒れないように固定器具を使って固定する。重いものを上に保管しない(重いものはキャビネットや棚の下に保管する)。倒れたときに避難の妨げになるレイアウトをしない。オフィスには様々な要因で、負傷するリスクがあります。

なぜ、家具類の固定や配置を重視するかというと、生き延びることに直結するからです。備蓄などの対策は、生き延びた後の話が前提になります。まずは生き延びるために、負傷するリスクの高い内容から対策をしていくことが重要です。

(参考:https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/000/422/hon5.pdf

日頃からの備え

日頃の備えとして、定期的に防災計画を見直し、防災計画に沿った訓練を行うことを意識しましょう。また、各個人でも日頃から対策を行っておくことが大切です。会社での備蓄品や防災マニュアルなどを確認したうえで、自分自身で準備しておいた方がいいものを用意しておきましょう。下記は長距離での徒歩帰宅をせざるを得ない場合に備えて、事前に用意しておいた方がいいものの一例です。 

  • 身元や連絡先をまとめたカード

携帯電話に連絡先をまとめていると、バッテリー切れや故障により連絡を取ることができなくなってしまうので、家族の連絡先や勤務先、学校などの情報は手帳やカードなどで保管するようにしましょう。

  • 軽いリュック

長距離を移動する際に、通常のビジネスバッグだと重くて疲労がたまりやすいので、両手が空いて動きの妨げにならないリュックがおすすめです。このリュックの中に、最低限の防災グッズをまとめて保管し、デスクの下に保管しておきましょう。

  • 長距離の徒歩移動に備えた歩きやすい靴

ヒールや、革靴で歩くと靴擦れを起こしてしまう可能性があるため、長距離移動に適した靴を会社に置いておくようにしましょう。

  • モバイルバッテリー

災害時、携帯は家族との安否確認連絡、情報収集手段、ライトなど様々な面で役立ちます。モバイルバッテリーを用意しておくことで、充電切れを防ぐことができるので、ぜひ1つは準備しておくことをおすすめします。

  • 帰宅支援マップ

災害時でも安全に徒歩帰宅ができるルートを示した地図です。またその他にも災害時の初動対応の方法や、徒歩帰宅するうえで必要な考え方なども記載しています。

  • ライト(両手が空くので、ヘッドライト推奨)

携帯電話で補うこともできますが、限られたバッテリーを節約するためにも、ライトは別で用意しておきましょう。また手で持つタイプのライトだと片手が塞がってしまうため、ヘッドライトタイプをおすすめします。

  • 水、食料

最低限、徒歩帰宅するにあたって必要な食糧を用意しておきましょう。移動を考えると、あまり重たいものを用意するのではなく、ゼリー飲料やカロリーバーなどで補うことも有効です。

  • レインコート

雨の中、移動するケースもあるので、傘ではなくレインコートを準備しておきましょう。 

企業における減災の取り組み

ここでは実際に、減災への取り組みを進めるための、事業継続計画(BCP)の策定手順や企業の減災への取り組み事例をご紹介させていただきます。

事業継続計画(BCP)の策定

災害時は限られた時間の中で、自社の被害や影響を確認し、何が不足しているのかを把握し、迅速に対応することが求められます。こういった事前準備をしていない場合、自社の社員の安全を守れず、二次災害など被害の拡大を招き、対策をとろうとした時には、すでに手遅れになってしまうケースが発生してしまいます。事業継続計画(BCP)を考えることは、限られた時間や資源の中で、対策を行い、意思決定をしていくプロセスなので、現状の経営課題を見つめ直すことにもつながります。

基本方針の立案

事業継続計画(BCP)を策定するにあたって、重要なことは「何のために策定するのか」ということです。ただ計画を作るだけであれば、意味はありません。災害時には限られた時間の中で、社員や取引先など多くの方の協力を得ながら早期復旧を目指す必要があります。そのため、自社の経営理念に沿った形で、策定する必要があります。

  • 人命(従業員・顧客)を守る
  • 自社の経営を維持する
  • 供給責任を果たし、顧客からの信用を守る
  • 従業員の雇用を守る
  • 地域経済の活力を守る

 上記のような項目で、何を大切な基本方針として、事業継続計画(BCP)を策定するかを考えてみましょう。 

重要商品(事業)の検討

自社にとって数ある商品(事業)の中で、どの商品(事業)を優先させるべきかを検討します。災害時は、限りある時間、人員、資材の中で、自社において最も継続させるべき商品(事業)から復旧を目指すことが大切です。重要商品(事業)の選定にあたっては下記の項目を意識しましょう。 

  • 自社の売上に対する貢献度
  • 商品の納期、提供時間などの取り決めがあり、それが遅れた場合に最も損害リスクが高いもの
  • 法的、財務的に果たすべき必要性があるもの
  • 人、物、金、情報が現在から3分の1になり、会社の復旧も並行して行うべき状況の中で、最も継続させたい商品(事業)はなにか

 

被害状況の確認

事業所の所在地をもとに、災害リスクの確認を行います。大規模な災害が発生すると、ライフラインは停止し、通信環境が途絶し、移動手段も制限されます。それに伴い、社員や、資材、設備、資金繰りなど様々な影響を及ぼします。大規模な災害(地震、津波、洪水など)で、具体的に社会へどういった影響が出るのか、また自社にはどんな影響が出るのかを事前に想定しておくことが重要です。

事前対策の実施

大前提、家具類の固定や社内備蓄は進めたうえで、経営資源(人、物、金、情報)に基づきそれぞれの対策を検討します。人であれば安否確認のルールや代替要員をどうするのか。物であれば、資材の固定は十分か、その資材の代替用品はどうするのか。金であれば緊急時に必要な資金の把握、現金・預金の準備。情報は重要データの保管方法(バックアップの仕組み)、情報収集、発信手段の確保をどうするのかという観点で対策を検討します。 

緊急時の体制の整備

誰が緊急時の指揮系統を担うのかを事前に確定しておきます。またその責任者が被災するリスクに備えて、代役の責任者を最低限2名は用意しましょう。大きく緊急時の対応で必要になるのは、初動対応と復旧に向けた対応です。初動対応は、避難、安否確認、被災者対応、初期消火などがあげられます。復旧に向けた対応は、重要商品の提供、取引先との調整、対外への情報発信、資金の確保などがあげられます。 

上記の項目で、策定したものを定期的に見直し、運用できるように定期的に訓練をしていくことが大切です。

中小企業庁│中小企業BCP支援ガイドブック(PDF)

企業の取り組み事例

ここでは、企業の減災への取り組みもご紹介させていただきます。

ローソングループ

ローソンではマチのライフラインとなることを目指して、防災対策に取り組んでいます。災害時の物資の供給や、募金活動などを実施しています。その他にも各地域で災害時帰宅困難者支援協定を結んでおり、帰宅困難者に対して、水道水、トイレ、道路情報などの提供支援を行っています。

ローソングループ│災害への復興支援

まとめ

今回は、防災と減災の違いや、企業で実施すべき減災対策として事業継続計画(BCP)の策定方法をご紹介させていただきました。近年は、想定外の災害が頻発しているので、災害はいつか起こるものとして、被害を最小化していく「減災」に基づいた対策をしていくことが大切です。そのためにも自社の備蓄や、家具類の固定、事業継続計画(BCP)の策定など、災害がいつ起こっても対応できる体制を整えていくことが重要です。ぜひ今回の記事をきっかけに、自社の対策を見直すきっかけになれば幸いです。

 

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あるぱか
この記事を書いた人
あるぱか

学生時代から東日本大震災をはじめ、全国各地で災害が起こる度に、災害救援に赴く。現在は「日常の中に当たり前に防災意識を」という考えのもと、防災事業の立ち上げを行う。事業内容は防災をおしゃれに、もっと身近に感じられる機会を提供するための防災カタログギフト制作を行いつつ、防災系記事の執筆も担当。

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