こんにちは、あそび防災プロジェクト専属ライターのJJです!
このたび、元一般社団法人防災ガール代表、現在は大学院に通いながらmorning after cutting my hair, Inc.の代表取締役を務める、田中美咲さんにインタビューを実施しました。
2020年9月にはSOLIT, Inc.も設立し、多くの社会課題に向き合っている田中さん。防災だけでなく、社会課題全般やSDGsも含めてお話をお伺いしました。
- 目次 -
現在行っている活動の特徴
−まずは、現在行っている活動の特徴についてお聞かせください。
(田中さん)現在は、大学院に通いながら、morning after cutting my hair, Inc.という会社で、社会課題に特化した企画・PRの活動を行っています。

morning after cutting my hair, Inc.のビジョン
★morning after cutting my hair,Inc.のホームページはこちら
また、身体障害のある方のファッションに関するスタートアップ、SOLIT, Inc.の立ち上げも行っています。
★SOLIT, Incへの思いを綴ったnoteはこちら
−いろいろなことをされていますが、これらの活動を始めようと思ったきっかけはなんですか?
(田中さん)自分がやりたいなと思っていることをやっている企業がなくて、それなら自分でやってしまおうという思いから、起業しました。
−それは防災ガールをやっているときから考えていたことなのでしょうか?
(田中さん)いえ、やめてから考えましたね。防災ガールをやっているときは、防災ガールに集中していました。
※防災ガール…「防災があたりまえの世の中に」をビジョンに2020年3月11日まで活動を行なっていた一般社団法人
−防災ガールをやっていた頃に感じていた課題感が原体験になっているという部分もありますか?
(田中さん)そうですね。防災ガールをやっているときから、社会課題全般として、消費者の声を聞いていない企業の施策や自治体の政策が多すぎるなと思っていました。
私としては、当事者寄りに立ち、当事者が本当に欲しいもの、泣いて喜ぶものを作る側に行きたいなという思いがあります。防災ガールもできるだけそうしていたし、現在でもそうしていますね。
SDGsについて
−弊社では最近、「SDGsに取り組みたいので協力して欲しい」というお問い合わせをよくいただきます。防災もSDGsのターゲット11「住み続けられるまちづくりを」に関わる部分があるかと思いますが、SDGsについてはどうお考えですか?
(田中さん)実は弊社では、現在のSDGsに関わる取り組みの一部はあまり本質的ではないと思っているメンバーが多いです。とはいえ、SDGsは国連が定めた2030年までのゴールであり、永世中立にある国連が振ったゴールなので、そこに沿った行動を起こすこと自体は悪いことじゃないと思います。
多くの日本企業が間違っているのは、それをファッションアイコン化して、本質をわかっていないのに「これがSDGsです」と言ってしまっているところです。
ただ、企業によってはSDGsの予算が大きくついており、「SDGsをやっています」とアウトプットしていかねばnならないということもあるかと思います。それが表面的な活動になっていないかを指摘し、本質的な行動へと移していくことが、私たちの役目だと感じています。
−そうですよね。どうせやるなら本質的なものにしていくべきですし、弊社としても、本質にアプローチできるものを提供していきたいです。
(田中さん)SDGsの本質を表したSDGsウェディングケーキモデルというものがあります。

出典:Azote Images for Stockholm Resilience Centre, Stockholm University(https://www.stockholmresilience.org/research/research-news/2016-06-14-how-food-connects-all-the-sdgs.html)
これを見ると、防災に関するターゲット11「住み続けられるまちづくりを」は、ケーキの中段にあたります。気候変動の話が下段にあるので、11を学ぶためには、まずは土台となる13「気候変動に具体的な対策を」を学ぶ必要がありますよね。11だけやっても意味がないんです。
御社の防災運動会では気候変動に関するテーマの競技もあったかと思いますが、そういう面も含めて、SDGsに関しては、包括的な、本質に近いところの取り組みをされているなぁと感じますね。
★防災を学べる運動会!防災運動会の詳細はこちら
日本の防災の課題
−今感じている日本の防災の課題はございますか?
(田中さん)防災業界って難しくて、それをわかりやすく伝えられる人がいないんです。研究者はたくさんいるのに、実践に活かせるところまで翻訳できる人がいなくて……。トップレベルで防災が進んでいる国なのに、伝えるという行為を疎かにしすぎて災害大国にもなっているんです。ここを紐づけるのが御社なのではないかと感じています。
これから行っていきたいこと
−ありがとうございます。微力ながら努力していきたいと思います。田中さんはやりたいことやチャレンジしたいことはありますか?
(田中さん)今やっている仕事のやり方がちょうどいい気がしていますね。PRの会社も、メインでやられている方のサポートというか、伴走し、背中を押す…という仕事がすごく楽しいし、大学院での勉強も、プレイングだけなく俯瞰して物事を見ることができて楽しいです。スタートアップもまだこれから立ち上げて行くところなので楽しみです。
大変なんですが、全部のバランスが整っている感じがしています。こんな感じで楽しくやっていけたらと思っています。
田中さんにとって防災とは?
−では最後に、田中さんにとって、「防災」とは何でしょうか?
(田中さん)言葉があっているかわからないですけど、防災は「選択肢」の一つでしかないと思っています。地球という星に生き続けたいのであればやるしかないし、生き続けたいなら、やらないという選択肢はないと思います。でも、災害が起きたら死んだらいいやと思っているならやらなくてもいいですし、強制するものではなく、あくまで選択肢としてあるものだと思っています。
災害が起きたときに防災をしていなければ、自分や大切な人が命を落としたり、怪我をしたりする確率は高くなります。その確率をできるだけ低くする、被災の量をできるだけ少なくするのが防災だと思っています。
大切な人や自分の命を守りたいのであればやったほうがいいし、そうでなければやらなくてもいいんです。
ただ、選択肢がない中で生きて行くのは苦でしかないので、できる限り選択肢を増やすためにあるものだと思っています。
−防災ガールは、選択肢としての防災を広めたいという思いでやられていたんですか?
(田中さん)東日本大震災で亡くなった方の中には、防災対策をすることで救えた方も多かったと思います。でも、防災をやっていなかったのは、本人が悪いのではなくて、伝える側にも責任があったんじゃないかなと思うんです。伝え方が下手だったり、一回伝えたら大丈夫だと安心してしまったり。
防災は、継続的にやりたくなるか、本人たちが強制的でなく「やりたい」と思えるかが重要だと思ってます。
本人が継続的にやりたいと思えるような選択肢を作ることも一つですし、生きる選択肢を作らせていただいているという意識で活動していました。
−防災はリマインドしていかないといけないものですし、みんなが自然と取り組めるような環境にしていきたいですね。
まとめ
防災ガールを解散してからも、様々な社会課題に取り組んでいる田中さん。
今回のお話を通して、防災を自発的に、継続的に取り組めるものにするために、「あそび防災プロジェクト」を、より本質的なものにブラッシュアップしていかなければ!と感じました。
田中さん、貴重なお話ありがとうございました!

株式会社IKUSAのオウンドメディア担当。「あそび防災プロジェクト」をはじめとするメディアの編集長を務めています。記事の編集、校正、アナリティクス分析、駆け出し動画編集、WEBデザイン、メルマガ企画など遊びの会社の1人マーケターとして奔走中!