自然災害は突如として発生し、人や街に多大な被害をもたらすこともあります。
二次災害は不注意によって引き起こされることがあり、普段の備えによって防げることがあります。二次災害について知ることで対策を取ることができ、日々の防災意識を高めることにもつながります。
本記事では、二次災害とはなにか、一次災害との違い、代表的な二次災害の種類と対策を紹介します。
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- 目次 -
二次災害とは
二次災害とは、一次災害を原因として連鎖的に発生する災害のことです。
例として、以下が挙げられます。
- 地震により暖房機器が倒れ、火災が発生する
- 台風による大雨で川が氾濫する
- 遭難者を救助しようと自分も探しに出たが、自分も遭難してしまう
このように一次災害と関連すれば二次災害に該当するため、範囲はとても広いものとなります。
なお、一次災害が自然発生するのに対して、二次災害は人の不注意によって発生する場合があり、被害が拡大したり長引いたりしてしまうこともあります。
【一次災害別】二次災害の一覧
一次災害 | 二次災害 |
地震 | 火災 |
津波 | |
地割れ | |
余震 | |
がけ崩れ | |
台風・大雨 | 洪水・浸水 |
がけ崩れ | |
地すべり | |
大雪 | 雪崩 |
車の交通事故 | |
火山噴火 | 大きな噴石・火砕流・融雪型火山泥流 |
火山灰 | |
その他 | 救助活動による事故 |
ライフラインの寸断 | |
エコノミークラス症候群 |
これらは一例であり、二次災害は多岐に渡ります。国や市のサイトでも災害情報を発信していることがあるため、確認してみましょう。
以下で詳しく解説していきます。
地震の二次災害
はじめに地震の二次災害について解説します。
火災
地震の二次災害として発生することが多いのが火災です。空気が乾燥していると発生しやすく、風の強い日だと火が他の建物に燃え移りやすくなるなど、消火活動が遅れるほど被害も拡大しやすいです。
逃げ遅れて助からないケースがあるほか、火災で発生した煙を吸ったことによる一酸化炭素中毒・窒息するケースもあり、大変危険なものとなります。
火災発生の理由には、ストーブなどの暖房機器が地震によって転倒して火が燃え移る、電子機器や電源コードが破損して火災に発展するといったほか、避難時にコンロの火を消し忘れて火災になるなど、人の手によって発生することもあります。
普段の火災への備えで未然に防げることもあるため、対策を講じることが重要です。
対策
暖房機器が家具の転倒に巻き込まれてしまうこともあるため、家具の転倒防止に努めるほか、暖房機器周辺に物を置かずに整理しておくことも重要です。
また、地震がおさまった後でも、電気が復旧した際に火災になるケースもあるため、可能であれば避難時は電源プラグをコンセントから抜いておきましょう。
津波
津波とは、地震により海の底が動くことで海水を押し上げ、それが水の壁となって人々の住む場所に押し寄せる災害です。
津波の力はとても強く、家や車を簡単に押してしまいます。また、建物に浸水することで機器が故障したり、濡れた足場で滑って怪我したりするなどの被害もあります。
対策
津波の特徴として、海の深い場所ほど波に速度があり、陸地に近づくにつれ減速するものの、津波を確認してから避難するのは難しいです。
津波の危険性がある地域に住んでいる場合は、地震の発生や、津波警報が発表された時点で速やかな避難を心がけるようにしましょう。
地割れ
地割れとは、地震の揺れにより地面に割れ目ができることです。
地形が変わってしまうことがあり、足を挟まれて怪我をする、車が通れなくなるといった被害が起きます。また、大きな地割れになると体が挟まれるといった命の危険もあります。
対策
地割れを見つけたらとにかく近づかないようにし、足元に注意して避難する必要があります。
余震
余震とは、大きな地震のあとに何度か連続して発生する地震のことです。
その名から「小さい地震」といったイメージをもつこともありますが、本震と同等の揺れが発生する可能性もあるため、誤解を招かないよう現在は気象庁では「余震」という言葉は使用しない方針となっています。
余震が続くことで半壊していた建物が倒壊する、地震酔いしてしまうといった被害のほか、余震によっても津波が発生することがあるため注意が必要です。
対策
本震と同じ揺れが発生する想定で、「もう一度地震が起きても大丈夫か」を確認するようにしましょう。窓から離れる、落下物のある場所では寝ない、家のドアを全て開けておくなども有効です。
台風・大雨の二次災害
台風・大雨の二次災害を解説します。
洪水・浸水
台風や大雨により、河川の水量が増えることで洪水が起こり、また水の増加に排水が追いつかないと浸水被害が起こります。
家に浸水すると、室内が濡れるほか、床下の地盤や、電子機器にも悪影響を与えます。
対策
普段から排水口を綺麗にしておき、なるべく水が流れていくようにすることが重要です。排水溝には落ち葉やゴミが溜まりがちなため、定期的に掃除するようにしましょう。
そのほかに、家の前に土のうを設置し、浸水を防ぐ方法もあります。
がけ崩れ
がけ崩れとは、急な斜面から土砂が崩れ落ちてくることです。
大量の雨によって地面が緩くなることで発生するほか、地震によって発生することもあります。
大量の土砂が急速に落ちてくるため、近くにいる場合は避難も難しく、住宅そのものが潰されてしまうほどの圧力をもっています。
対策
咄嗟の避難が難しいため、大雨及び地震の際はがけに近づかないことが重要です。
また、がけ崩れにも前兆があり、がけにひび割れや亀裂がある、小石が落ちてくる、割れ目から水があふれてきている場合は即座にその場から避難するようにしましょう。
地すべり
地すべりとは、雨により柔らかくなった地面が、辺り一帯ごと斜面下方に移動してしまうことです。
家や施設、樹木などを巻き込み、一度動き出すと止めることは難しいです。地すべりが起きると、地面には亀裂や段差ができ、家や施設、田畑は破壊され、電線は切れてしまうなど、辺り一帯に大きな被害を与えます。
対策
地すべりそのものへの対策は難しいため、避難が重要になります。雨が降り出したら土砂災害警戒情報が出ていないか確認が必要です。
また、地すべりも前兆があり、地面にひび割れや陥没、斜面から水があふれる、地鳴りがする、樹木が傾くなど、地すべりのサインを見逃さないようにしましょう。
大雪の二次災害
大雪の二次災害を解説します。
雪崩
雪崩とは、山に積もった雪が重力によって斜面に滑り落ちてくることです。豪雪地帯特有の災害で、主に山間地帯や観光地、スキー場などで発生します。雪崩に飲み込まれてしまうと死者や行方不明者が出ることもあります。
山に積もる雪のうち、先に積もった層の雪を「積雪」、その後に積もった層の雪は「新雪」と呼び、この上下2層から成り立ちます。
1月から2月にかけて寒い日が続く時期には「新雪」だけが滑り落ちてくる「表層雪崩」が起きやすく、時速は100kmから200kmと新幹線並みの速度になります。それにより雪崩も遠くまで到達しやすくなっています。
雪融け頃の春先になると「積雪」と「新雪」の両方が滑り落ちてくる「全層雪崩」が起きます。「表層雪崩」と比較すると雪崩の時速も遅く、到達距離も短いですが、それでも時速は40kmから80kmと自動車並みであり、大変危険な災害となっています。
対策
雪崩の速度は速く、発生を確認してから避難するのは難しいです。
そのため、普段から気象情報を確認するほか、雪崩が発生しやすい場所を確認しておきましょう。急な斜面や木があまり生えていない、あるいは低い背の木しかない場所は雪崩が発生しやすく、反対に中程度以上の背をもつ木が集まっている箇所は雪崩が発生しにくくなっています。
車の交通事故
大雪が降ることで、路面の凍結や、雪によって視界が遮られるなどが起こり、車の交通事故が発生しやすくなります。
1cm以上の厚さで、踏み語られた雪を「圧雪」と呼び、非常に滑りやすい状態になります。ほかにも、一見すると雪が積もっていないようでも氷に覆われていることがある「ブラックアイスバーン」もあり、見た目の判断が難しいものとなっています。
対策
安全運転を心がけ、スピードを落とし、ライトを点けて運転するようにしましょう。
雪があるところはもちろん、路面が黒く見える箇所もブラックアイスバーンの可能性があると思い気をつけて運転し、気温が冷え込みやすい朝方と夜間にはとくに注意を払う必要があります。
火山噴火の二次災害
火山噴火の二次災害を解説します。
大きな噴石・火砕流・融雪型火山泥流
火山の噴火に伴ってさまざまなものが火口から噴出します。以下はいずれも避難までの猶予が短く、危険度の高いものとなっています。
- 大きな噴石……風の影響が小さく、警戒・注意すべき大きさの噴石のこと
- 火砕流……破片状の固体物質と火山ガス等が混ざりあったもので、時速は100km以上、温度も数百度にものぼり、非常に危険性が高い
- 融雪型火山泥流……火山に積もった雪が火山活動によって融かされ、火山噴出物と一緒に流れ込んでくること
対策
いずれも事前の避難が重要です。噴火警報や避難計画を活用し、事前の素早い避難を心がけましょう。
火山灰
噴出物のなかで直径2mm未満の小さいものを火山灰と呼びます。
軽いため風に運ばれ、人体の健康被害だけでなく、農作物への被害、飛行機などの電子機器の故障など、広範囲に被害をもたらします。
また、水に溶けず、雨を吸うことで重くなるなど処理も難しく、配水管が詰まることもあります。
対策
外に電子機器は置かず、室内の電子機器も火山灰が入り込んだときを想定してラップで隙間を防ぐなどの工夫が必要です。
また、服装も目はゴーグル、口はマスク、肌の露出はおさえて長袖や長ズボンの着用、隙間があればタオルを巻くなど、外気に触れないことも重要です。
火山灰が降り続くと外出も難しいため、食料や飲料水など、備蓄品を準備しておきましょう。
その他の二次災害
ここでは一次災害の種類に関わらず発生する可能性があるものを解説します。
救助活動による事故
災害発生後、被害に遭った人を救助しようとした人が、さらなる被害に遭うことがあります。
たとえば、「瓦礫の下にいる人を助けようとして瓦礫を動かしたら、周囲の瓦礫が落ちてきてしまった」、「はぐれた人を探しに行ったら自分も道に迷い、はぐれてしまった」などが挙げられます。
対策
緊急時に目の前の危険な人を助けたいと思う精神は尊ぶべきです。しかし、周囲の状況をみて、冷静な判断をすることも大事なことです。
災害における自助・共助を忘れないようにし、まずは自分自身を守り、そして周囲の人と協力することを心がけましょう。
「救助活動によって二次災害が起きるかもしれない」という可能性を念頭に置きつつ、なるべくなら一人ではなく、複数人で慎重に作業にあたります。また、この際に安全確認、情報共有や伝達はこまめにおこなうようにしましょう。
ライフラインの寸断
地震、台風、大雪、火山噴火のいずれであっても、規模が大きくなるとライフラインの寸断が起きる可能性があります。電気、ガス、水道にくわえ、インターネット環境や、物流、交通機関が止まってしまうことが考えられます。
いずれか一つでも止まってしまうと普段通りの生活は難しく、健康を保てないこともあります。また、復旧の見通しが立たないケースもあり、一週間以上続くことも少なくはありません。
対策
普段から備蓄品の準備をすることが重要です。電気、ガス、水道など、ライフラインが断たれたケースを想定して用意するとよいでしょう。
たとえば、電気が点かなくても懐中電灯を用意していれば明かりを用意できます。ガスが止まってもカセットコンロがあれば簡単な調理はできるでしょう。まとまった食料と飲料水もあれば安心です。
また、災害時には被害状況や、救助状況の把握も重要なため、電池式のラジオによる情報収集も欠かさないようにしましょう。
エコノミークラス症候群
エコノミークラス症候群とは、食事や水分が十分に摂れていない状態で、狭い場所で長時間同じ姿勢でいることで起こる血行不良です。足の静脈に血栓ができ、それが血管を通じて肺まで流れてしまうと呼吸困難になり、死に至ることもあります。また、自覚症状がないことも多く、気づいたときには重症化していることがある点にも注意が必要です。
ライフラインが寸断され、避難生活の際に発生しやすいとされています。自分の家とはちがい、避難所ではスペースが限られることが多く、狭い場所で窮屈な姿勢になりがちなことや、食料や飲料水が十分ではないことが原因となります。
対策
エコノミークラス症候群は同じ姿勢でいることで起こりやすいため、体を動かすことが有効です。歩くのがよいですが、状況によっては難しいケースもあるため、かかとの上げ下げの運動をしたり、ふくらはぎを定期的に揉んだりするとよいでしょう。
また、窮屈な体勢にならないように衣服を緩めたり、足を伸ばせたりするような工夫も有効です。
そのほか、避難時は飲料水が限られており、トイレの心配があって飲むことを我慢してしまうケースもありますが、水分不足も原因のひとつとされています。意識してこまめに水分補給をおこないましょう。
災害発生時に役立つ知識を得られるアクティビティ
防災コンセンサスゲーム「帰宅困難サバイバル」
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まとめ
ここまで二次災害について紹介してきました。
自然災害の力は大きく、人の力では抗えないこともあります。しかし、なかには対策を知っていれば被害をおさえる、あるいは被害に遭う可能性を減らすことのできる二次災害もあります。
二次災害は今回紹介した内容だけでなく、多岐に渡ります。先にも述べたように国や市のサイトで各災害に関する防災情報を発信していることもあるため、さまざまな視点からの情報収集を欠かさないようにすることが重要です。
災害への知識を身につけ、普段の生活から対策を講じていきましょう。
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