ボランティアに興味のある方の中には「防災ボランティア」を検討している方もいるのではないでしょうか。
台風や地震、水害など、日本は何かと災害に悩まされやすい国です。災害が発生するたびに多くのボランティアが活動している状況でもあります。
防災ボランティアに興味がある方であれば「どのように始めればいいのか」「具体的にどんな活動をするのか」などは気になる部分でしょう。
本ページでは、防災ボランティアについて詳しくご紹介。防災ボランティアの種類や活動内容、始め方などについて見ていきましょう。
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防災ボランティアとは?
防災ボランティアとは、文字通り「防災」に特化したボランティアのことです。
しかし、「防災」といっても、災害を防ぐことを目的とした活動内容だけではありません。災害が発生したら現地で積極的に活動するといったことも防災ボランティアの仕事です。そのため、イメージとしては「災害全般のボランティア」といえるでしょう。
被災者に寄り添い、被災した地域の復興をサポートするなど、災害現場で精力的に活動できる人が防災ボランティアに向いています。
防災ボランティアの種類
「防災ボランティア」は、詳しく活動内容を見ていくとさまざまな種類があります。
ここからは、防災ボランティアで分類される種類について見ていきましょう。
情報収集班
防災ボランティアの種類として、まず挙げられるのが「情報収集班」です。
情報収集班では、災害情報やボランティアを必要としている地域のリサーチなどを行います。防災ボランティアとして活動するうえで必要な役割であり、今後のボランティア活動を左右する存在でもあります。
情報収集班は普段から災害情報をチェックしているだけではなく、災害が発生したときの現場の情報収集(どこに何人のボランティアが必要かなど)なども行うのが特徴です。
ニーズ班
被災地のニーズをチェックするのが「ニーズ班」の役割です。
いざ災害が発生すると被災者は不便な生活を余儀なくされます。そうした被災者の声に耳を傾けながら、必要な対応や必要な物資などを確認していくのです。
現地では主に、受付ブースを設けて、被災者から直接ニーズを確認するケースが多くなっています。少しでも被災者が快適かつ安全に過ごせるよう、できることを考えるのもニーズ班の仕事です。
情報班
「情報班」は、集まった情報を集約するための存在です。
情報収集班が現地を回って、被害状況や道路状況などをチェックします。それを情報班がまとめて精査し、情報発信していきます。
主に、マスコミ向けに情報を共有したり、特設サイトや地域のホームページなどに被害情報などを掲載したりする役割です。被災者はもちろんのこと、近隣住民も情報を確認できるように対応を進めていきます。
ボランティア受付班
「ボランティア受付班」は、防災ボランティアとしての活動を希望する方の受付場所として機能しています。
災害が発生すると、現場には防災ボランティアが多く集まります。各々が自由に活動してしまうと、収集がつかなくなり思わぬトラブルを招くおそれがあることから、ボランティア受付を行うことをルールとしています。
なお、主な業務内容は、ボランティア希望者の情報の確認(住所・氏名・年齢など)や出発前の説明などです。
マッチング班
「マッチング班」は、集まったボランティア希望者と、人手が必要な被害場所のマッチングを行います。
被災者から寄せられたニーズをもとに、「何人のボランティアをどこへ派遣するか」を計画・実行するのが主な仕事です。
マッチング班は、ニーズ班やボランティア受付班との連携が必須となりますので、同時進行で行う業務も多めです。しかし、ボランティア活動の中心となる機能を果たしていますので、重要な存在といえます。
防災ボランティアの活動内容
防災ボランティアは、具体的にどんな活動をしているのでしょうか。
テレビのニュースやネットメディアなどでボランティア活動を見かけたことはあっても、「実際に何をしているの?」といった疑問を感じている方は少なくありません。
ここからは、防災ボランティアにおける具体的な活動内容について触れていきます。
瓦礫などの撤去・分別
防災ボランティアの活動内容の一つが「瓦礫などの撤去・分別」です。
地震や水害、台風などがあると、町中が瓦礫の山となります。瓦礫を撤去しなければ復興が進みませんし、怪我などの二次災害を招くことも考えられます。そのため、防災ボランティアの多くが瓦礫の撤去・分別作業を任されるのです。
しかし、瓦礫は被害状況によって、木材が混ざっていたり、燃えるゴミ・燃えないゴミが混ざっていたりすることも多く、一度に回収して処分できません。
細かくを確認しながら、処分のルールに従って分別する必要があります。
泥だし
「泥だし」は、主に水害に遭った地域で多い活動内容の一つです。
津波や洪水、川の氾濫などがあると、泥水が屋内に入り込むなどして、家の中が泥だらけになってしまうことがあります。しかし、住人だけで屋内に残った泥を出すのは時間がかかります。そんなときに手助けをするのが防災ボランティアです。
あらかじめ貸し出されるスコップや自分で準備した道具などを使いながら、丁寧に屋外へと泥を出していきます。
炊き出し
被災生活をしている地域の方に向けて「炊き出し」を行う活動内容もあります。
災害後は非常食中心の食生活を送っている被災者がほとんど。健康面や精神面が不安な状態に陥りやすいことから、豚汁やカレーなどを炊き出しで提供するのです。
非常食中心の生活をしていると、温かい食べ物が欲しくなります。被災生活を少しでもより良いものとするために、温かい食事を提供することが一般的です。
被災者の心のケア
被災者の声に耳を傾けるといった「被災者の心のケア」活動は、防災ボランティアの活動内容の一つです。
家族を失った、けがをした、家が壊れたなど、災害が発生すると、さまざまな悩みや不安を抱えて過ごしている被災者が多いです。
しかし、被災者の多くが「大変なのは自分だけではない」と考え、誰にも心の内を話せずにいることがあります。防災ボランティアはそういった被災者の心のケアのために、積極的に耳を傾け、必要に応じて専門機関への受診などを促していきます。
防災ボランティアの運営サポート
「防災ボランティアの運営サポート」役といった、運営側の仕事を任されることもあります。
運営サポートでは、本記事前半で触れたような情報収集班やニーズ班などに配属されますので、指示に従いながら活動をしていきます。
防災ボランティアにおける運営サポートは、現場で活動するボランティアとは異なり、デスクワークに近い形での活動となることが多いのが特徴です。
イベントやサロンの運営
防災ボランティアの活動内容の一つが「イベントやサロンなどの運営」です。
ボランティア組織によっては、防災をテーマにしたイベントやサロンを定期的に実施しています。
防災ボランティアとして、少しでも被害を小さくするための活動の一つです。主にイベントやサロンのスケジュール調整、イベント・サロンの企画立案、会場の予約などを行います。
防災ボランティアの始め方
防災ボランティアを始めたいけれど、どのように始めれば良いのかわからない……という方は少なくありません。
ここからは、防災ボランティアの始め方を順番に解説していきますので、参考にしてみてください。
ボランティアの心がまえを知る
防災ボランティアを始めたいなら、まずは心がまえを知ることが大切です。
被災地は困っている人であふれかえっている状態です。「被災地に迷惑をかけないこと」「主体的になって行動すること」「被災者に配慮した言動を心がけること」など、必要な心がまえはたくさんあります。
安易な気持ちでボランティアを始めると、被災地に迷惑になることもありますので、注意しましょう。
ボランティアの受け入れをしている団体に申し込む
情報収集を行い、ボランティアの受け入れをしている団体を探しましょう。
インターネットやSNSなどでボランティアの受け入れ情報を発信していることが多いため、ぜひチェックしてみてください。
受け入れをしている団体が見つかったら、電話やお問い合わせフォーム、コメントなどから申し込みを行います。
工程や日程を確認する
申し込みが完了したら、作業工程や日程などを確認し、スケジュール通りに現場へ向かいます。
このとき、持ち物の指定があることが多いため、必ず確認しておきましょう。現場で借りられる場合もありますが、原則としては持ち込みが基本です。
現地は物資が足りていないことが考えられるため、特別な事情がない限りは自分で準備しておいてください。
実際に活動する
あらかじめ指定された日時に現地へ行って、活動をスタートします。
災害直後は現場がバタバタ混乱している場合もあります。随時周囲に目を向けながら、適切な行動ができるようにしておきましょう。
また、被災者と話す機会がある場合は、相手に配慮した発言が必要不可欠です。精神的にダメージを受けている被災者がほとんどですので、「頑張りましょう」といった安易な発言は避け、「辛かったですね」「力になるので何かあれば頼ってください」など、相手に寄り添った言葉を選ぶようにしましょう。
まとめ
防災ボランティアは、災害が発生したときに被災地を助けるという重要な役割を担う存在です。
「困っている人の力になりたい」という気持ちが強い方にとって、防災ボランティアは最適な選択肢といえるでしょう。
現在、防災ボランティアに興味がある方は、これを機に団体の情報をチェックし、実際に申し込んでみてはいかがでしょうか。
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1993年生まれ。栃木県在住。一児のシングルマザーライター。Web媒体・紙媒体にて、ジャンルを問わず多くのメディアで執筆。BtoB向け記事の他、ママ目線でのコラム執筆も手掛ける。専門家や起業家などへの年間インタビュー数200人を目標に、パワフルに活動中。
「やらないと」から「やってみたい」と思える防災へ。防災を楽しく学べるイベント「あそび防災プロジェクト」の発案者。防災運動会をはじめとした様々なサービスを考案。企業や自治体、商業施設での防災イベントの実施や、「世界防災フォーラム2019」「防災アイディアソン BOSAI Startups in Japan」へ登壇。「あそび防災プロジェクト」は2020年グッドデザイン賞を獲得した。