地球温暖化の影響から自然災害が顕著に激甚化・頻発化しているなか、企業の防災対策として、事業継続の観点が必要不可欠となっています。近年の災害時の経験を踏まえ、内閣府からも事業継続や企業の機能を維持するための「事業継続マネジメント(Business Continuity Management=BCM)」、またそのための具体的な計画「事業継続計画(Business Continuity Plan=BCP)」の策定が推進されています。
本記事では、防災研修とは何か、BCM・BCPや防災に関する社内教育の必要性、防災研修や防災訓練におすすめのアクティビティについて紹介します。
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防災研修とは
防災研修とは、社員が防災に関する知識を得て被災時に適切に対応できる状態にすること、防災意識を高めて日頃から災害に備えて行動できるようにすることなどを目的として実施する研修です。
防災研修には座学型と体験型(防災訓練を含む)の2パターンがあります。防災研修を実施することで被災時に社員が適切な行動を取るための知識を得られ、BCMやBCPを機能させることや検証・ブラッシュアップをすることにもつながります。
なぜBCM・BCPが必要なのか
現代社会では、企業同士の事業が複雑に繋がり合っていて、1企業単体で完結することはほとんどありません。ある企業の活動が突然停止しただけでも関連する企業の活動に影響し、それが社会全体に影響することが想定されます。
このような考え方は、1995年の阪神・淡路大震災や2004年の新潟県中越地震での経験から広まったものです。実際に、自動車のエンジンの部品を作る企業が被災したことで、日本全体の自動車製造がストップした、ということが起きました。これを踏まえ、災害が発生しても企業の中核となる活動を継続できるよう、仮に活動が中断してもできる限り早く復旧できるよう、組織全体のマネジメントを行うことをBCM、具体的な対策を練ることをBCPといいます。
企業の規模に関わらず、企業が従業員の生命と生活を守ること、企業の社会的責任を果たすこと、さらには企業ブランドの維持の観点からも、BCM・BCPは不可欠だといえるでしょう。
BCM・BCPで具体的にすべきこととは
BCMは「事業継続マネジメント」
BCM(Business Continuity Management)は、台風・大雨・地震といった自然災害のほか、事故やテロといった緊急事態が起きることを想定し、被害を最小限に抑え、事業が中断しないよう、または仮に中断してもできる限り早く復旧するための一連の運営マネジメントを指します。
BCMの具体的な内容としては以下が挙げられます。
- 緊急時の事業全体(従業員・利益・設備など)への被害予測
- 周囲(関連企業の信頼・社会的責任)への影響の分析
- 緊急時の具体的な体制や復旧マニュアルの作成
- 緊急時の体制を組織内に対策を浸透させるための研修
- 緊急対応後のBCMの見直し・改善
BCPは「事業継続計画」
BCMで組織全体の運用方針や体制を構築し、それに基づいた具体的な行動計画を立てるのがBCP(Business Continuity Planning)です。
BCPの具体的な内容としては以下が挙げられます。
- 基本方針の立案(人命救助、雇用維持、社会的責任などのうち、何を優先して守るか)
- 重要商品の検討(優先的に継続すべき商品、影響の大きいものは何か)
- 被害状況の予測(自社にどんな影響が起こるか)
- 自社の現状の把握(人・物・情報・資金における自社の強み、弱みなど)
- 緊急時の体制整備に向けた行動手順(BCP発動、初動マニュアル、復旧マニュアルなど)
- 社内教育活動の実施
- 自社の現状を踏まえたBCPの見直し
大規模災害が起こることを想定したBCM・BCPを策定することは不可欠ですが、それ以上に、BCPの内容についての研修や実際の被害を想定した訓練も重要です。
BCP運用には防災研修による社内教育が必須
日頃から防災意識の醸成を
緊急時にBCPが実際に運用できるよう、日頃から定期的な教育を実施することが欠かせません。従業員が防災を自覚をもって捉え、必要な知識を身に付けるとともに、緊急時の役割分担や責任の所在、またBCPの不備にも事前に気づくことができます。
BCP訓練の例としては以下が挙げられます。
- 机上訓練…策定したBCPの手順に従って、実際に行動できるかを検討する
- 電話連絡網・緊急時通報診断…緊急時、すみやかに従業員に連絡が行き渡るかどうかを確認する
- 代替施設への移動訓練…事業中断を想定し、代替施設や復旧要員を実際に移動させて、事業の復旧を予行演習する
- バックアップしているデータを取り出す訓練…バックアップしている電子データや書類を取り出し、代替システムで実際に運用できるかどうかを試す
- BCP全体を通した総合訓練…事業中断の緊急事態から復旧までを一通り訓練する。大災害を想定したシナリオを作成し、従業員への説明や設備の準備も行って、各自実際に行動してみる
専門業者などから助言をもらうのもおすすめ
BCM・BCP策定や防災・救急などについてはある程度知識と技能が求められます。社内ではその専門知識の面で不安がある、という場合は、防災士や地域の防災センターでの外部講習会や企業が行うサービスを利用するのもおすすめです。
株式会社IKUSAでは、楽しみながら防災を知るきっかけを提供する「あそび防災プロジェクト」の運営を行っています。防災をテーマにした楽しいアクティビティで自然と防災意識を高め、緊急事態への対応力や知識、「共助」の意識を身に付けられるので、企業様の防災訓練としてもご利用いただいています。
あそび防災プロジェクトの詳細は下記から資料ダウンロード・お問い合わせください。
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防災研修におすすめのアクティビティ3選
防災研修を実施する際には、知識の定着や理解を促すために防災に関連するアクティビティを活用することが有効です。
以下では、防災研修におすすめのアクティビティを3つ紹介します。
防災運動会
防災運動会は、基礎的な防災知識や災害時の知恵を学べる運動会です。防災を「事前/災害発生/発災直後/避難生活/生活再建」の5つのフェーズに分け、それぞれに応じた競技を体験することで、防災に関する知識を実践的に学ぶことができます。
競技をカスタマイズできるため、会社の状況や地域性に合わせた訓練が可能。BCP訓練としても活用いただけます。
防災運動会の資料ダウンロードはこちら防災謎解き
防災謎解きは、防災と最近話題の「謎解き」を組み合わせた新しい防災アクティビティです。4~6人のチームでストーリーをもとに謎を解き進め、すべての謎を解けたら脱出成功です。
出題される謎は災害に関連したもので、防災知識を体験的に習得することができます。また、謎を解く過程でチーム内の役割分担や協力が促され、コミュニケーション活性化にもつながります。
室内型の防災謎解き以外にも、オンライン版の防災謎解きONLINEや、周遊型の防災謎解きもございます。お気軽にご相談ください。
防災謎解きの資料をダウンロードする防災コンセンサスゲーム
防災コンセンサスゲームとは、災害時の対応をテーマとした防災士監修のストーリーを通して、複数人で合意形成(コンセンサス)をする大切さや方法を実践的に学べるゲームです。実際の状況を想定した内容で、災害が発生した際の適切な対応を理解することができます。
参加者は災害が発生した際の対処法を個人で考えたあと、チームで考えて合意形成を得ることを体験します。自分とは違う考え方や価値観を知り、コミュニケーションの必要性を体験から学べることが特徴です。
防災知識を身に付けるとともに、コミュニケーション活性化にもつなげたい企業様におすすめのアクティビティです。
防災コンセンサスゲーム「帰宅困難サバイバル」の資料をダウンロードするまとめ
今回は企業におけるBCM・BCPと防災研修の必要性についてお伝えしました。日頃からしっかりと防災の意識を持っておくことが、いざ緊急事態に陥った場合の行動や結果に大きな差を生みます。それぞれの事業内容に沿って緊急事態を想定した方針と行動計画を定め、ぜひ実りある防災研修を行ってください。
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