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BCP訓練とは?目的・種類・進め方とシナリオの作成方法について解説

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BCP訓練とは?目的・種類・進め方とシナリオの作成方法について解説

企業のなかには、災害時の対策としてBCPを策定しているところもあるでしょう。実際に策定したBCPで訓練を行うと、予定通りに運用できなかったり、改善点が明らかになったりと、さまざまな課題が浮き彫りになります。BCPは作成するだけでなく実際に運用し、内容を改善したり従業員の理解や対応能力を深めたりすることが大切です。

そこで本記事では、BCP訓練の概要や目的をお伝えするとともに、BCP訓練の種類や作成ポイントについて解説します

 

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BCP訓練とは

BCPは、大地震などの自然災害、感染症のまん延などで企業が被害を受けた時も、重要な事業を中断せず早期復旧できるよう定める事業継続計画のことです2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震、20207月豪雨などの災害が続いており、企業として取り組むことの必要性をいわれるようになりました。

BCP訓練の目的は、BCPの内容が適切か検証すること、従業員の防災意識を高めることです。具体的な訓練としては、机上訓練や緊急連絡網のチェック、代替施設への移動、総合訓練などがあります。

従業員に企業防災を自分事として捉えてもらうためにも、定期的に訓練を行い、身体を動かしながら内容を覚えてもらうことが大切です。

BCP訓練の目的

そもそも、BCP訓練はなぜ行うのでしょうか。BCP訓練の目的について詳しく説明します。

災害時の状況を具体的にイメージする

BCP訓練は、災害やトラブルの発生直後から、状況がどのように変化するかを想定し、従業員が行う対応を時系列にまとめたシナリオを使って行います。そのため、災害などのトラブルが発生した時、自社がどのような被害を受けるのか、従業員が具体的にイメージできます。参加者の防災意識を高めることにつながるでしょう。

BCPの課題を見つけ改善につなげる

BCPは策定すれば、完了するものではありません。企業の事業内容や周辺の環境は年を追って変化するため、定期的な見直しが必要ですPDCAサイクルの観点でいうと、BCPを策定したら(Plan)、訓練を行い(Do)、不備を見つけ(Check)、改善する(Action)を繰り返すことになります。

実際にBCPをもとに訓練をしても、手順通りに進まないことがあります。訓練の様子を記録したり、参加者にアンケートをとったりして、気づいたことをBCPの修正や改善に役立てましょう。不足している備品や故障した機械が発見されることもあり、日常的な備えにもつながります。

防災意識の定着が期待できる

BCP訓練なしに、経営陣や従業員がBCPの内容を全て記憶し、災害時などにスムーズに運用することは難しいでしょう定期的に訓練を続けることによって、BCPの理解が深まり、災害時に適切な対応をする力が育ちます。ただ計画書を読むのではなく、意見交換をしたり、実際に身体を動かして訓練したりすることで、防災意識の定着が期待できます。

BCP訓練の種類

 

BCP訓練にはさまざまなものがあります。6つの訓練の内容について解説します。

机上訓練

机上訓練とは、参加者が会議室などに集まり、BCPの内容や各自の役割を確認したうえで、災害などが起こっても計画通りに動けるか議論することです。参加者は議論しながらBCPに目を通すため、計画に矛盾したところや漏れがないか、全員で確認して意識を共有することができます。

課題を淡々とこなすのではなく、疑問に思ったこと、不安に感じたことなど、参加者の気づきを大切にしましょう。気づきはできるだけ吸い上げて、BCPを改善する際の参考にします。

机上訓練には「ワークショップ型」と「ロールプレイング型」があります。

ワークショップ型

ワークショップ型では、参加者がチームを作り、どのような状況かを説明した状況付与票に書かれている情報を見ながら意見交換をします。話し合った内容は付箋に記入し、ワークシートにはりつけて発表します。

ロールプレイング型

ロールプレイング型では、参加者の役割を決め、状況付与票をもとに、自分はどう対応したら良いのか考えます。運営側と双方向のコミュニケーションが多く発生するため、臨機応変な対応力と高いコミュニケーション能力が必要です。

安全確保

オフィスにいる時に大きな地震が起きた場合は、落ち着いて自分の身を守ることが大切です。頑丈な机の下などに避難し、頭部を落下物から保護します。

普段自分があまりいない場所、たとえば倉庫などで地震にあうこともあるため、BCP訓練に取り入れるとよいでしょう。

従業員の安否確認

従業員の安否確認訓練では、全ての従業員とスムーズに連絡がとれるか、連絡網の連絡先が古くなっていないかなどがわかります。参加者は訓練前に、ルールや連絡方法についてよく理解しておくことが大切です。

たとえば、大地震が起きた場合は、揺れがおさまったら、すぐ従業員の安否確認を行います。けが人の名前と人数を把握し、応急手当を行うほか、従業員同士が連絡をとりあえるか、携帯電話などを使って検証します。BCP訓練ではこうした状況を想定し、あらかじめ作った緊急連絡網にしたがって、電話やメールなどを使い、実際に従業員同士で連絡をとってみましょう。

安否確認システムを導入している企業の場合、BCP訓練で安否入力のチェックをし、従業員が適切に入力しているか確認してもよいでしょう。BCP訓練とは別に、勉強会を開き、事前に使い方を説明することも効果的です。

代替施設への移動

災害などの発生により、普段使用しているオフィスや工場などが使用できなくなった場合を想定することも、重要なBCP訓練の1つです。安全なルートを通って代替施設に移動し、製品の製造や加工など、代替施設の利用に問題がないかを検証します。避難した場所でクラウドが使用できるか確認するのもよいでしょう。

バックアップデータを取り出す

災害発生時に備えて、バックアップデータを取り出す訓練を行うことも大切です。復旧に使うシステムが実際に使えるかを確認します。普段のバックアップの方法が適切かも検討しましょう。

総合訓練

災害発生から復旧までの一連の流れを確認するのが総合訓練です。企業単体で行うのも効果的ですが、近隣の自治体や企業と連携して実施すると、より具体的な復旧イメージを持ちやすいでしょう。平常時から協力体制を作り、地域と一緒に訓練を行うと災害時の備えとなります。また、夜間や休日など、会社が閉まっている時に災害が発生した場合、地元住民の協力を得られることがあるため、BCP訓練を行う際は地域と合同で行うのがおすすめです。

BCP訓練の進め方

BCP訓練を行うためには、まず、計画を立てて日時や役割分担を決めるといった、シナリオを作成するための準備を行います。その後、具体的なシナリオを作成し、訓練当日は作成したシナリオに沿って訓練を進めます。訓練後には振り返りを行い、BCPの改善に役立てるのが、大まかなBCP訓練の進め方です。それぞれの工程について、詳しく見ていきましょう。

シナリオ作成の準備

BCP訓練によって身につけてほしい内容について考え、テーマ設定を行います。どのような災害やリスクに対応するか、日時、場所、訓練方法、各自の役割などを確定し、シナリオ作成の準備をします。BCP訓練の範囲は、従業員の安否確認や本部の立ち上げなど特定の項目に絞ったり、発災からの一定時間にする行動全体の流れを確認したり、その時々で考えましょう。

また、従業員がBCPの意味をわかったうえで、当事者意識を持ってBCP訓練に参加できるよう工夫することも大切です。そのため、シナリオ作成の準備と並行して、従業員にBCP訓練の重要性について理解できるよう、あらかじめ勉強会やセミナーを開催しておくと、訓練で学んだことが定着しやすくなります。

シナリオの作成

BCP訓練のシナリオとは、災害やトラブルが起きてからの変化、従業員の対応を時系列にまとめたものです災害の種類、規模、発生日時、被害などを想定して作りますBCP訓練のシナリオは、その出来次第で、訓練の成果が全く変わるほど重要なものです。細部にリアリティを持たせ、参加者が意欲的に参加できる内容にしましょう。シナリオ作成には以下のようなポイントがあります。

目的を明確にする

シナリオのあらすじは、訓練の目的、従業員にどのようなことを身につけてほしいかを考えながら作成します。参加者に訓練の目的を伝えることで、自分事としての意識が生まれ、積極的に関わることができます。最後の振り返りでも、活発な意見が出ることが期待できるでしょう。

自社に関わる人を登場人物に

実際に災害が起きると、影響はさまざまな人に及びます。シナリオの登場人物には、自社の人間や顧客、サプライチェーンに関わる業者を設定し、リアリティを持たせましょう。日頃から親しんでいる人が登場人物になっていることで、参加者は親しみを持って訓練することができます。また、幅広い人を登場人物に想定することで、行動の選択肢が増え、判断の幅も広がります

状況の設定

災害時は、季節や平日・休日、日中・夜間など状況によってとるべき対応は変わります。訓練の目的を考慮し、発災の曜日、時刻、季節などを決めておきましょう。また、BCP訓練では、初動対応をシナリオにする傾向にありますが、復旧時の対応などをシナリオにしても効果的です。ただし、シナリオの状況があまりにも現実とかけ離れていると、参加者のモチベーションが下がりやすくなります。できるだけリアリティを持たせるようにしましょう。

被害状況を想定する

シナリオでは、災害時の具体的な被害状況を想定して作ります

  • オフィスや工場にどのような被害があったのか
  • 出勤できない従業員がいるか
  • 使えないシステムやツールがあるか

さまざまな被害状況を想定して、できる限りリアリティのあるシナリオを目指します。

訓練の実施

訓練を実施する前に、オリエンテーションを開き、従業員に訓練の流れについて説明します。訓練の流れを周知後、シナリオに沿ってBCP訓練を始めます。訓練の内容は記録に残しておきましょう。ここでは、具体的な訓練の例を紹介します。

【訓練例】本部立ち上げ

本部立ち上げの訓練では、まず本部立ち上げを宣言し、あらかじめ決めておいた本部設置場所に要員を集めます。次に、本部要員の役割分担を決め、電気・ガス・水道などのインフラの状況を調べましょう。あわせて、自家発電装置などの代替手段が使えるかをチェックします。建物が壊れていないか、出火していないかの確認も必要です。出火している場合は初期消火を行います。現在のオフィスで事業が継続できそうか協議し、できない場合は代替施設に移動しましょう。従業員の安全が確保できたら、事業継続について必要な指示を行います。

【訓練例】建物やライフラインの確認

建物やライフラインの被災状況の確認には、火災やエレベーター内の閉じ込め、ライフラインの破損状況の点検などがあります。

実際の災害現場では、従業員が怪我をしていたり、交通網の寸断で出勤できなかったりする可能性があります。あるいは、夜間や休日で従業員がいないことも考えられます。担当する従業員がいなかったり、人数が足りなかったりする場合に備えて、被災状況の確認を行う要員を集めることも、訓練内容に加えるとよいでしょう。

また、ライフラインの応急処置として、自家発電装置や井戸水などを備えている企業もあるでしょう。自家発電装置などの代替手段は、担当者の不在時でも使用できるよう、保管場所や使用方法を従業員に周知しておく必要があります。井戸水の水質検査や、防災用品の備蓄数と保存期間、避難経路に置かれた不要物、非常口の開閉についても確認しましょう。確認後は、結果を本部に報告します。

振り返り

訓練終了後は必ず、参加者が訓練について振り返る時間を設けましょう。話し合いながら、課題や気づきを共有します。訓練とBCPに関する気づきを書いてもらうアンケートをとり、課題や今後の対策について記入してもらうことで、BCPの改善につなげられるでしょう

また、気づきは分類してリスト化・グループ化し、回答者数を記録しておくことが大切です。集計を分析し、BCPの改善に生かせるものがあれば反映します。訓練の様子はノートか動画に記録して、あとで見返すようにすることで、次の訓練に生かすことができるでしょう。

BCP訓練のポイント

BCP訓練では、従業員に訓練の重要性を理解してもらうことが大切です。ここでは、BCP訓練を行う時のポイントについてお伝えします。

従業員にBCP訓練の意味を理解してもらう

BCP訓練は、災害時に企業の経営を早期復旧させるだけでなく、従業員の安全確保にもつながる重要な訓練のため、全ての従業員が対応力を身につける必要がありますBCPで事業を継続することは、自身を守るために必要であることを説明し、全ての従業員に重要性を理解してもらいましょう。

被害状況を詳しく設定する

シナリオにリアリティを持たせるため、被害状況をできるだけ詳しく設定することが大切です。被害状況を細かく設定することで、計画の改善点もはっきりと見えてきます。

普段からBCPについて意識する

普段からBCPについて意識し、行動することで、有事の際にも落ち着いて対応できます。オフィス家具やキャビネットを固定して大地震の揺れに備えるのもよいでしょう。移動時や営業先などで通信状況が悪い場合にはチャットやSNSを活用するなど、連絡をとるための手段を考えることも大切です。普段から企業防災を意識した業務を心がけましょう。

まとめ

災害などのトラブルは、いつ、どのような形で発生するかわかりません。BCP訓練は、従業員が平時から、BCPについて意識するきっかけになります。このような備えが、企業を守る大きな力になります。

しかし、実際に災害などが発生した時は、予測していなかったことが起こることもあるでしょう。BCPで、あらかじめ役割分担を決めたとしても、その従業員が出勤できなかったり、負傷して動けなかったりするケースもあります。シナリオを作る際には、その点を考慮し、臨機応変な対応が必要になることを理解してもらうことが大切です。

訓練では参加者の気づきや意見を積極的にすくい取るようにしましょう。一人ひとりの気づきに重要なことが隠れているケースが多く、従業員が当事者意識を持って防災に取り組むきっかけになります。

中小企業の場合は特に、災害などが起きた時、限られた人数で事業を復旧しなければなりません。インフラが止まり、従業員の多くが出勤できず、材料が手に入らないなかで事業を継続するためには何が必要か、BCP訓練を続けることで、見えてくるでしょう。BCP訓練を通して、災害などが起きた時に適切に判断・対応できるよう備えることが大切です。

 

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