気候変動や異常気象などに伴う台風・大雨や、今後起こる可能性の高い大震災などの災害に備えるためには、国・行政だけでなく、企業や個人も防災対策に取り組むことが重要です。
仙台防災枠組は、国際的な防災枠組として策定された国際防災の枠組・具体的な目標です。
本記事では、仙台防災枠組の概要・詳細、背景、特徴、防災への取り組みについて詳しく紹介します。
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仙台防災枠組とは
仙台防災枠組とは、2015年3月14日~同年3月18日まで仙台市で開催された国連の国際会議である「第3回国連防災世界会議」にて採択された災害リスクの大幅な削減を目的とした国際防災の枠組・具体的な目標です。仙台防災枠組は2005年に採択された「兵庫防災枠組」の後継にあたります。
仙台防災枠組の期間は2015年から2030年までの15年間です。仙台防災枠組では、第3回国連防災世界会議にて策定された「期待される成果」、「ゴール」、「7つのグローバルターゲット(成果・ゴール達成に向けた評価指標)」、「13つの指導原則」、「4つの優先行動(優先分野)」などが定められています。
出典:仙台防災枠組 2015-2030(仮訳)|外務省(PDF)
仙台防災枠組の背景
甚大な被害を引き起こした東日本大震災により、災害リスクを減少させることの必要性の高さが日本から世界に示されました。第3回国連防災世界会議は、2011年3月11日に発生した東日本大震災の被災地の1つである宮城県仙台市で開催され、「仙台防災枠組」が採択されています。
総務省消防庁が公開している資料「平成 23 年(2011 年)東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)について (第 146 報)」によると、人的被害のうち死者数18,131人、行方不明者2,829人と、甚大な人的被害が生じたことがわかります。また、同資料では、住宅被害のうち全壊129,391棟、半壊265,096棟、一部破損743,298棟と公表されています。
参考:平成 23 年(2011 年)東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)について (第 146 報)|総務省消防庁(PDF)
総務省消防庁の資料によると、阪神・淡路大震災の人的被害のうち死者数は6,434人、行方不明者3人、住宅被害のうち全壊104,906棟、半壊144,274棟、一部破損390,506棟と比較すると、東日本大震災による被害の甚大さがわかります。宮城県仙台市は防災を世界に広める重要な役割を担っています。
参考:阪神・淡路大震災について(確定報)|総務省消防庁(PDF)
国連防災世界会議の流れ
- 第1回国連防災世界会議(1994年):神奈川県横浜市(「より安全な世界に向けての横浜戦略:防災のためのガイドライン−自然災害の予防、備え、軽減と行動計画」を採択)
- 第2回国連防災世界会議(2005年):兵庫県神戸市(「兵庫行動枠組」を採択)
- 第3回国連防災世界会議(2015年):宮城県仙台市(「仙台防災枠組」を採択)
仙台防災枠組の特徴
- 防災に関する地球規模の目標が初めて策定されたこと
- より良い復興(ビルド・バック・ベター)・防災の主流化・災害前の防災投資・女性のリーダーシップ、さまざまな主体の連携の必要性などの新たな考え方を日本から世界に提示したこと
- 防災・減災におけるステークホルダーの役割が強調されたこと
参考:「仙台防災枠組」推進に向けた取り組み|防災環境都市・仙台
仙台防災枠組の詳しい内容
仙台防災枠組では、「期待される成果・ゴール」、「7つのグローバルターゲット(成果・ゴール達成に向けた評価指標)」、「4つの優先行動(優先分野)」が示されています。
それぞれの詳細を以下で紹介します。
期待される成果・ゴール
成果
仙台防災枠組では、下記の内容が「期待される成果」として定められています。
人命・暮らし・健康と、個人・企業・コミュニティ・国の経済的・物理的・社会的・文化的・環境的資産に対する災害リスク及び損失を大幅に削減する
出典:仙台防災枠組 2015-2030(仮訳)|外務省(PDF)
第2回国連防災世界会議で採択された「兵庫行動枠組」から強靭性の向上、損失・損害の減少に関しては進展が見られたものの、大幅な進展を図るには根気強く・粘り強く取り組むことおよび定期的なフォローアップが必要であることが示されています。
ゴール
また、期待される成果を実現するために必要なこととして、以下のゴールが定められています。
ハザードへの暴露と災害に対する脆弱性を予防・削減し、応急対応及び復旧への備えを強化し、もって強靭性を強化する、統合されかつ包摂的な、経済的・構造的・法律的・社会的・健康的・文化的・教育的・環境的・技術的・政治的・制度的な施策を通じて、新たな災害リスクを防止し、既存の災害リスクを削減する
出典:仙台防災枠組 2015-2030(仮訳)|外務省(PDF)
ゴールの実現には、開発途上国を中心とした特定の課題がある中所得国の防災に関する実施能力を国際協力により高めることの重要性が示されています。
7つグローバルターゲット(成果・ゴール達成に向けた評価指標)
仙台防災枠組で定められた7つグローバルターゲット(成果・ゴール達成に向けた評価指標)を要約すると下記のようにまとめられます。
- 2030年までに地球規模の災害による死者数を大幅に減少させる
- 2030年までに地球規模の災害による被災者を大幅に減少させる
- 災害による直接的な経済損失を減少させる
- 2030年までに医療・教育施設を含む重要なインフラへの損害・ライフラインの停止を大幅に減少させる
- 2020年までに防災戦略を有する世界の国・地域を大幅に増やす
- 2030年までに開発途上国への支援・国際協力を大幅に強化する
- 2030年までに早期警戒システム、災害リスク情報・評価へのアクセスを大幅に向上させる
注:(5)は2020年まで
7つのグローバルターゲットは、成果・ゴールを達成することを目的として進捗状況を適切に評価し、促進させるための評価指標です。7つのグローバルターゲットは国連に属する国や地域に共通する指標であり、国際社会として推進することが大切です。
4つの優先行動
4つの優先行動としては、下記の内容が示されています。
- 災害リスクの理解
- 災害リスクを管理する災害リスク・ガバナンスの強化
- 強靭性の災害リスク削減への投資
- 効果的な災害対応への備えの向上と復旧・復興過程における「より良い復興(ビルド・バック・ベター)」
参考:仙台防災枠組 2015-2030(仮訳)|外務省(PDF)
防災への取り組みを進めるうえで、あらゆるステークホルダーの協力が不可欠です。仙台防災枠組では、多様なステークホルダーが国や地域の政策・計画などに関与するよう政府が促すことの重要性が示されています。また、公共および民間セクター、市民社会団体、科学研究機関などが連携して協働すること、企業が災害リスクを経営実務に組み込むことなども定められています。
企業の防災推進に関する取り組み
企業には社員の安全確保義務があり、また社会的な防災への取り組みを推進するうえでも重要な役割があります。企業として防災を推進するには社員の理解・協力が不可欠です。
以下では、企業の防災推進に関する取り組みについて紹介します。
防災運動会
防災運動会は、防災に関する種目・競技を体験することを通じて、防災への関心を持ち、その重要性を理解したりその後の取り組みにつなげたりすることができる企業向けリアル運動会サービスです。
被災時に役立つ知識も得られる防災障害物リレー、防災クイズラリー、防災謎解きなどのオリジナル種目を体験することで、企業・社員の防災への取り組みを促進させることができます。
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防災謎解きは、グループワークとして数名で協力して謎解き脱出ゲームを行うことで、防災に関する知識を得たり関心を持ったりするきっかけづくりができるサービスです。
チームで取り組むためチームビルディングやコミュニケーション活性化などにつながります。防災謎解きはリアル・オンラインのどちらでも実施でき、社員の家族も参加するファミリーデーとして社内イベントを開催することもできます。
防災への取り組みを行う際には、個人としてだけでなく、家族に理解してもらいながら継続的に協力して取り組むことが重要です。防災謎解きを実施することで、社員の家族も含めた防災対策につながります。
防災謎解きの資料をダウンロードする自治体・施設の防災推進に関する取り組み
以下では、自治体・施設の防災推進に関する取り組みについて紹介します。
防災ヒーロー入団試験
防災ヒーロー入団試験は、子ども・親子向けの防災ワークショップが体験できるサービスです。
防災スリッパづくり、水消火器射的、防災リュック間違い探し、スモーキー迷路などの子どもが没頭して楽しめる体験を通じて、防災への興味・関心を持つきっかけづくりになります。また、クイズラリーやウォークラリーを実施して施設や地域の特定の場所を訪れるように促すこともできます。
防災を推進するには、地域住民が子どもを含めて家族で取り組むことが重要です。防災ヒーロー入団試験を通じて、子ども・親子が防災を自分ごと化することにつながります。
資料をダウンロードするまとめ
防災には国や地域だけでなく、企業や国民の一人ひとりなど、あらゆるステークホルダーがその重要性を認識し、協力して推進していくことが大切です。仙台防災枠組があることで、国際社会が共通の目的・目標を持ち、地球規模での防災への取り組みの推進につながっています。
株式会社IKUSAは、社内イベントや地域イベントなどを通じてあそびのチカラで社会課題解決につなげる取り組みを行っています。社員や地域住民の一人ひとりが防災に取り組むためには、まずは防災を自分ごととして捉え、関心を持ち、知識を身につけ、行動できるようになることが重要です。
防災に関する社内イベント・地域イベントの実施をご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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