豪雨や大地震の被害を受けた方の中には、今後の災害に備えて防災袋を自宅に常備している方も多いのではないでしょうか。
しかしそのような防災意識の高い方でも、外出先で災害に遭うことまでは想定していないかもしれません。
そこで今回は、必要最低限の防災グッズを入れて持ち歩きできる「防災ポーチ」について解説します。
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防災ポーチってそもそも何?
防災ポーチとは、外出時に災害が発生したときに備えて、必要最低限の防災グッズを入れて身につける「持ち歩く防災袋」のことです。
ほとんどの方は、防災グッズを持ち歩くという考えはないでしょう。しかし、災害はいつどこで発生するかわからないので、防災ポーチの必要性は否定できません。
自宅や勤務先にいるときに災害が発生すれば、自宅の防災袋や勤務先の防災用備蓄品を利用できます。しかし、公共交通機関での移動中や旅行先で災害に遭えば、そのようなグッズなどは利用できません。
このようなときに役に立つのが、普段から必要最低限の防災グッズを入れて持ち歩く防災ポーチなのです。以下では、防災ポーチの選び方やどのようなものを入れておけばいいのかなどについてご紹介します。
防災ポーチを選ぶ時のポイント
防災ポーチを準備するときに大切なのは入れ物の大きさです。あまり大きいと持ち歩きには適しません。
かといって、小さめの袋ならなんでもいいというものではありません。収納性に優れていて、中身の出し入れがしやすく、ある程度の耐久性のあるしっかりした物を選びましょう。
外出用のカバンや旅行バッグなどにもかんたんに入れられるサイズで、かつポーチ単体でも持ち歩けるデザインのものがおすすめです。
ここでは、ポーチの選び方について5つのポイントをご紹介します
容量に余裕があるか
持ち歩きに不便にならない限りで、容量に余裕がある物を選びましょう。防災ポーチには必要最低限の防災グッズを入れると説明しましたが、災害発生時に最悪のシチュエーションに置かれる可能性を考えれば、ポーチの容量はある程度大きいに越したことはありません。
ポーチの容量が大きければ、色々な種類の防災グッズを入れられます。また一つひとつの防災グッズの数も多めの準備できます。飴やチョコレートなどの非常食を多めに入れておけば、空腹を一時的にしのげるのでおすすめです。
整理整頓がしやすいか
防災ポーチは緊急時に利用するもの。必要なものがすぐに取り出せるデザインを選びましょう。仕切りや収納ポケットがたくさんついた整理整頓のしやすい製品がおすすめです。
防災ポーチの中に入れるものは、用途や目的によって形や大きさがバラバラです。ポーチを開けたときに中身が整理整頓できていないと、必要なものを出すのに手間がかかります。
中に入れる防災グッズの利用シーンを考えて、内側に入れるか外側のポケットに入れるかなどの具体的な収納方法を考えてみましょう。
耐久性があるか
防災ポーチは頻繁に買い換えるものではありませんので、長年使い続けても破れない、耐久性のあるものを選びましょう。
防災ポーチに入れるグッズの形状は色々です。なかには尖った形状のためポーチの素材を傷つけしまうものもあるでしょう。したがって、できるだけ丈夫な素材でできたポーチを選ぶことが大切です。開閉ジッパーや収納ポケットのボタンなどもしっかりと取りつけられたものを選んでください。
また豪雨災害時に備えて、防水加工されたポーチであれば文句なしです。登山やキャンプ用のポーチは、耐久性や防水性に優れている製品が多いのでチェックしてみましょう。
軽くてタフな素材か
大きさが同じポーチでも、素材の違いや装飾の有無などによって重さは異なります。
革製品や余計な金具類がついたものは重くなりがちですので、軽量かつタフな素材でできたものを選びましょう。ナイロン素材は引き裂きや衝撃に強いので、防災ポーチの素材に適しています。
カバンの中に入れやすいか
防災ポーチはカバンの中に入れて運ぶこともあります。会社勤めの方は通勤用のカバンの中に入れることが考えられますし、旅行の際は旅行カバンに入れることもあるでしょう。主婦の方はショッピングや買い物の際に、バッグや手提げ袋の中に入れることがあるかもしれません。
いつでも、サッと通勤カバンや旅行カバン、バッグなどの中に入れられるような出し入れのしやすい大きさ・形状の防災ポーチを選ぶようにしてください。
防災ポーチの中に入れるもの
次に、防災ポーチの中に入れておいた方がいいものを7つ紹介します。「災害が発生した時に、自分の身を守るために必要なものはなにか?」という視点で確認してみてください。
充電バッテリー
停電が起こっている地域だと、携帯電話のバッテリーを充電できなくなることも考えられます。このようなケースに備えて、充電バッテリー(モバイルバッテリー)を入れておきましょう。携帯電話やスマホは、情報収集や連絡手段の必須のアイテム。バッテリーが切れては使い物になりません。
充電バッテリーは、少なくとも携帯電話やスマホを1回満充電できる容量のものを選ぶようにしましょう。充電できる容量(〇〇mAhで表します)が増えると大きく重くなります。最近はコンパクトで薄型なものも発売されていますので、家電量販店などで探してみるといいでしょう。
またバッテリーは、いざというときにすぐ充電できるように、普段使いをしながらこまめに充電してください。バッテリー本体だけでなくケーブルもきちんと使えることを確認しておきましょう。
10円玉
災害発生時は、携帯電話の電波が通じなくなることも珍しくありません。そんなときに活躍するのが公衆電話。災害時には携帯電話やスマホは通信規制の対象となって繋がりにくくなることがあるのに対して、公衆電話は通信規制を受けません。
公衆電話は、災害時の利用を想定し、500mから1km四方に1台以上設置されています。
NTT東日本・西日本は、公衆電話の設置場所が検索できる専用ページを設けています。災害が起きる前に、自宅や勤務先、避難場所に近い公衆電話の場所をチェックしておくといいでしょう。
NTT東日本・公衆電話設置場所検索
NTT西日本・公衆電話設置場所検索
公衆電話を使う際は、テレホンカードまたは硬貨が必須です。お札は使えませんので要注意です。またテレホンカードは、入手できる機会が限られていること、磁気消失により使えない場合があることからおすすめできません。
公衆電話で使える硬貨は10円玉と100円玉です。10円玉だけだと通話時間が限られてしまうので、100円玉も一緒に入れておきしょう。また、自動販売機が釣り銭切れとなってお札が使えないときにも、小銭があれば便利です。
なお、災害時には銀行ATMやクレジットカードなどが一時的に使えなくなることもあります。硬貨だけではなくお札も含めたある程度の現金を持っておけば安心です。普段は現金を持ち歩かない方も、外出時に災害にみまわれる場合もありますので、多少は持ち歩くのが無難です。
小型の懐中電灯
避難中、夜間に外を移動する場合に備えて、防災ポーチに懐中電灯を入れておきましょう。昼間であっても、建物の中や地下街にいるときに停電が起きると、真っ暗で身動きがとれなくなりますので、懐中電灯があれば便利です。
懐中電灯のタイプには、小型の懐中電灯の他、キーホルダー状になったLEDライトや手が自由に使えるヘッドライト型などさまざまなタイプがあります。
肝心なときに電池切れが起きるといけませんので、必ず予備の交換用電池も数個は入れておきましょう。懐中電灯が充電タイプの場合は、充電バッテリーを使って充電できるようにケーブル類も含めて準備することをお忘れなく。
身分証明書
身分証明書は、自分の身分を示すものとして重要なアイテムです。もしものときに備えて防災ポーチに入れておきましょう。免許証・パスポートなどの顔写真つきのものと健康保険証のコピーの2種類用意するのが理想です。免許証を財布などの中に入れて常に持ち歩いている方も、念のため防災ポーチにコピーを入れておきましょう。
また自宅の住所・電話番号、家族の名前・連絡先・メールアドレスなどを書いたメモを一緒に入れておくと、万が一のときに役立ちます。
なお大規模災害が起きたときには、通帳や印鑑、キャッシュカードがなくても、身分証明書さえあれば預貯金が引き下ろせることもあります。この点からも身分証明書の携帯は重要です。
カットバンや薬
避難しているときにケガをすることもあるので、カットバンも常備しましょう。ケガを放置すると、災害発生時や避難時に大きなストレスとなるからです。
また小さなスリ傷や切り傷であっても、放置すると雑菌が入って化膿したり衣服が汚れたりします。傷口を雑菌から守り、より早く治癒させるためにもカットバンがあると安心です。
災害時はすぐに医者にかかれないことがありますので、カットバンの他にも、ガーゼ・消毒液・解熱剤(鎮痛剤)などの救急セットを持っておくこともおすすめします。さらに持病のある方は、防災ポーチの中に数日分の薬を入れておくとともに、避難場所に往診にきた医師が病状をすぐ判断できるよう、お薬手帳を用意しておくといいでしょう。
長期保存が効く食べ物
大規模な災害発生時は、店から食料品が無くなってしまい、数日間食べ物が手に入らない場合もあります。このような事態に備えて、長期保存できる食べ物を防災ポーチに入れておきましょう。
最近の防災意識の高まりを背景に、食品メーカーから長期保存できる災害用携帯食料が発売されています。小さくて手軽に口にでき、かつしっかりと栄養がとれる非常食もありますので、防災ポーチに入れておくと便利です。
食べ物に関しては、飴やチョコレート、ゼリー飲料などを入れておくといいでしょう。この場合、飴はノンシュガータイプではなく、ある程度カロリーがとれる普通の飴がおすすめです。普通の飴でも喉の乾燥対策になりますし、塩飴や塩分タブレットなら炎天下の脱水症状対策にもなります。
また食べ物の他に水が必要です。外出時には500ml程度のペットボトル飲料を携行すれば、万が一の災害時にも役に立ちます。
ボディシート
災害が発生して避難所生活に突入すると、入浴できる機会は限られます。このようなときに便利なのがボディシートです。
夏場は汗をかきますので身体中がベトベトします。衛生面からも身体を綺麗にふいて清潔にしておくことは重要です。大判のボディシートがおすすめですが、なければウェットティッシュでも構いません。身体以外の汚れふきなどにも幅広く色々と使えますので、水が自由に使えない避難所生活ではとても役に立ちます。
なお市販されているボディシートには、アルコールタイプとノンアルコールタイプがあります。オールマイティに誰もが気軽に使えるのはノンアルコールタイプです。また香りつきのものもありますが、無香性のものを選ぶようにしましょう。
まとめ
防災ポーチの選び方や中に入れるものを中心に紹介しました。防災ポーチや防災グッズの重要性についてご理解いただけたのではないでしょうか。
防災ポーチに入れるものは人それぞれ違います。また個々人の体力の差によって、持ち歩きできる重量は異なるはずです。
災害時に自分に必要なものはなにか、優先度や体力を考慮して、本当に必要なものを厳選して防災ポーチに入れるようにしましょう。資料をダウンロードするお問い合わせする

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